敵を知る努力をせずに敵だらけ



◎「敵を知る 努力をせずに 敵だらけ」



不思議なのである。

今は五月上旬。
例年なら、この時期になると、
イネ科花粉症の症状に悩まされているはずだ。

それが今年は、ほとんど無い。

前もって購入しておいた、
アレルギー用の目薬も未開封のまま。

治ってしまったのだろうか?(だったら嬉しいな)
それとも、花粉が飛んでない?(それも嬉しいけどな)


ちなみに、イネ科花粉は、
スギ・ヒノキ花粉とは異なり、
それほど遠くへは飛ばない。

杉の木のほとんどない東京都心で花粉症が出るのは、
数十キロ以上の距離を花粉が飛ぶからだ。

ところが、イネ科花粉が飛ぶのは数十メートル程度。
だから最善の対処法は、近づかぬことである。

一番症状のきついカモガヤやハルガヤが多く生える場所は
私の頭の中の地図に入っているから、
この時期は脳中のイネ科花粉症ナビに従い、
移動するのが常でした。


しかし今年は症状が出ない。
近づいたって、ほとんど出ない。

「有難い!」ってことで、
この4月から、
たくさんのイネ科植物の名前を覚えようと、
近づいて写真を撮って調べておりまする。

これまで秋のイネ科は調べてたんだけど、
春のは手つかずだったもので。

お陰で、同定は相当に厄介ではあるけど、
身近なイネ科植物の6~7割くらいは、
名前などが分かるようになりました。

ネットや図鑑に「花粉症の原因となる」とある種の
花を接写しても大丈夫なのだから、
本当に治ったのかも知れぬ。

ずっと花粉症のせいで嫌いだったイネ科だが、
「食」という最重要な事柄で
これほどお世話になっている植物はないのだ。

知れば知るほど人間との関係は興味深いし、
感謝の念も沸き起こってきます。

また、これまで敵として避けていたものを、
積極的に知ろうとすることで、
もしかしたらこちらの体質が変わって行ってるのかも、
4月が無事に過ぎ、5月になって、
そんな気すらしてきました。

「敵を知る努力」とは、
なるほどこういうことかな、
と孫氏の兵法のようでもあり。