幾千もの男の肌を知る女が

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幾千もの男の肌を知る女が、私に言うのである。

「弱いねえ」



何やら思わせぶりな記事の出だしでございますが、
実際には猥褻な要素は一滴もございません。

「幾千もの男の肌を知る女」とは、
私がよく行く散髪屋でカミソリを担当しているおばちゃんのこと。

何千、いやもしかしたら何万もの男の人の、
ヒゲだとかうぶ気を剃り続けているのだから、
これほど男の皮膚に詳しい職業はないと言ってもいいでしょう。

私、彼女に嫌われているんです。
苦手がられているとした方が正解かな。
初めての時から、「皮膚が弱いねえ」と言われ、
「ちょっと今日は無理だわ」と言われた時もある。

ヒゲの方はそれほど問題はないけど、
首筋、つまりはうなじ辺りの肌が特に弱く、すぐに腫れてしまう。
カミソリを強く当てる事が出来ない。



で、先日、日焼け止めクリームを塗りなされ、
と彼女に言われたのです。

これまで、薬剤師さんも含めて、
いろんな方に日焼け止めを勧められてきたが、
どうも抵抗感が強くそのままにしてきました。

でもそろそろ降参するべきなんですかねえ。
実際、山歩きで日焼けした時の疲れや身体の火照りが、
年々辛く感じられるようになってきておりまする。

「幾千もの男の肌を知る女」は、そんな事もお見通しなのかなあ。