2007-02-01から1ヶ月間の記事一覧

これが平和というものだ(「草競馬流浪記」を読む30)

最後に、一番最初に載っている文章を。 山口瞳が残した大量の文の中で、一番好きです。 これがあるから、彼の本を何度も読み返そうと思うのです。 昭和二十一年だったと思うが(二十年の秋かもしれない)、 戸塚競馬場が再開されたとき、 僕は、まっさきに、…

最後の訪問地なのに・・・(「草競馬流浪記」を読む28・岩見沢)

この全国の公営競馬場を回る旅の最後の訪問地が岩見沢。 なのに、瞳先生、体調が悪いのに加えて、輓曳はお嫌い。 なんと一ページの半分ほどしか、岩見沢競馬に使っていません。 そして、この後に中央競馬の函館競馬場に行って、 そこで最後とされています。 …

おらの馬が出走し家族連れが多い(「草競馬流浪記」を読む27・帯広)

瞳先生としては、 この競馬場はかなり気に入った方なのだろうけど、体調が最悪。 馬券は当たっているのだけど、心は弾まず、不思議な文章になってます。 次の岩見沢と合わせて、このシリーズ最後の旅行なんですけどね。 「これがね、競馬ではなかったら、 た…

腹に一物をもつ木の話

瓜生山にある看板です。 上が現在。 下が一年ほど前。 木の進行が少しだけ進んでます。 そのうちこの無骨な木の手が彼女の胸に・・・キャー! >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>> 思い出話しです。 十数年前、タイのあるホテルのロ…

落馬・落馬・落馬・落馬・・・(「草競馬流浪記」を読む26・三条)

第三コーナーに危険な箇所があって、 そこを改良したら、裏目に出て、滑るようになってしまったとか。 そんな時に訪れた瞳先生は、落馬の嵐を目の当たりにされて怒る。 「おい、都鳥君。『フォーカス』のカメラマンを呼んでこないか」 「三コーナーでカメラ…

人妻が肉眼でアナウンス(「草競馬流浪記」を読む25・中津)

中津は、町も競馬場も、気に入らなかったようで・・・ でも、端々に面白いエピソードが散りばめられています。 ●ずっと昔、写真判定のなかった頃、 審判員が馬券を買うという事件があった。 (すげー!) ●「選挙の多い年は、競馬は駄目です」 競馬の好きな…

瞳氏本を買い占める男あり(「草競馬流浪記」を読む24・金沢)

この本の中で、一番面白いのがこの金沢の章。 山口瞳に詳しい人なら、 「倫敦屋」という酒場と、その大将が記憶にあるはず。 彼が万馬券を外したり、当てたり、大活躍。 買っているはずの万馬券を何故だか買っておらず、 そのうちに、倫敦屋、両掌で顔を覆っ…

パンスト貰って気分はサッパリ(「草競馬流浪記」を読む23・高崎)

気の置けない仲間と一緒に行ったこともあり、他場の章と比べて、 実際に買った馬券・レースの話が多いのが特徴。 ただ、最初に大当たりして、尻すぼみという寂しい展開ですけど。 初日、馬券成績が良かった日の夜は、 「フロントに言えば、未亡人、来っかね…

有明海の海苔ひびが光る(「草競馬流浪記」を読む22・荒尾)

九州熊本なのに、風でメチャメチャ寒かったよう。 瞳先生、馬券を当てている割には、 景気のよくない文章になってます。 「これで、もう損はない」 僕は儲けた金を財布にしまった。 こういうとき、これはツイテル、 押せ押せで行けという人が多いが、 僕は気…

競馬やるなら足利(「草競馬流浪記」を読む21・足利)

宇都宮と同様に、ヤクザ者、ノミ屋、コーチ屋がいない。 競馬やるなら足利、と、僕はファンに向かって叫びたい。 とても気分よく競馬が出来る環境のようで、 読んでいて羨ましくなります。 宇都宮と違って、ここでは瞳先生の成績も悪くなかったようだし。 福…

枠の内外が妙に気になる(「草競馬流浪記」を読む20・宇都宮)

宇都宮競馬場には、かなりの好感をもたれた模様。 まず綺麗で、従業員の感じがよく、環境がよく、 ノミ屋・ヤクザ者がおらず、 見やすい席で、馬券も買いやすく、パドックも美しい。 馬券では、内外の差が大きいと指摘されています。 でも、雨が降り不良馬場…

内馬場は池でボラが跳ねる(「草競馬流浪記」を読む19・高知)

ノミ屋の高知と呼ばれているそうである。 去年、高知では八百長事件が発覚して、一開催が中止になった。 これは、覚醒剤使用の騎手が検挙られたことに端を発した。 その騎手がうたってしまったのである。 馬主もからんでいたという。 馬主がノミ屋にいれると…

気のいい窓口のオバサンが(「草競馬流浪記」を読む18・名古屋)

ちょうどタモリが出てきて、名古屋をからかっていた時期。 名古屋論がちょこちょこ入っているのも楽しい章になってます。 名古屋競馬は、今でも存続云々が盛んに議論されていますが、 この当時も同様だったようです。 建議書には、 近年、入場者および売上げ…

色川武大(阿佐田哲也)と共に(「草競馬流浪記」を読む17・益田)

益田競馬と直接関係はないですが、 最初に公営競馬に対する思いや提言が書かれています。 公営競馬は、 地方公務員(多くは県庁や市役所の出向)によって運営されている。 彼等のなかには、自分の職業を誇りとしないどころか、 「ああ、やれやれ。とうとう競…

ぞわっ!

苦手な人には、とても申し訳ない写真・話題です。ゴメンナサイ また、ピントも甘かった。ゴメンナサイ(×2) あまり人の入らない山道を登っている時、 適度な太さの木を掴みました。 とたんに、手の中が「もぞっ!」として、背筋が「ぞわっ!」。 枯れ木に…

フィールド・アスレチックのような(「草競馬流浪記」を読む16・盛岡)

到着してすぐ、コース形態がまず目に付いたようです。 馬場を見おろして驚いた。 盛岡競馬場ほどの特異な存在は知らない。 「これは遊園地のフィールド・アスレチックだな」 というのが僕の第一印象だった。 障害のようで障害じゃない。 現在では芝コースも…

雨が降ると土方が来る(「草競馬流浪記」を読む15・佐賀)

瞳氏の父方の故郷が佐賀で、マタ従弟がいるので、 彼らとの交流がなかなか楽しそうな章になってます。 開催執務委員長の言葉。 土方が、晴れていると来てくれないんです。 午前中に雨がドッサリ降ると、満員になります。 それと農家の人ですね。 雨が降らな…

パクリ版・勝手に夕陽甲子園(京都・叡山電鉄編)

もうちょっと、この飛行機雲が下まで来てくれていたら。

ディクシー・チックス "Wide Open Spaces"

ディクシー・チックスのグラミー賞が、 新聞などで大きく取り上げられて、驚いてます。 http://www.nikkansports.com/entertainment/p-et-tp0-20070213-155768.html 何を隠そう、私、彼女たちの大ファン。 一月に、影響された作家とアーティストそれぞれ十人…

競馬新聞に瞳先生登場(「草競馬流浪記」を読む14・福山)

連載の掲載紙・出版社が変わり、心機一転の再出発。 担当者も変わります。 その第一回目が福山競馬場。 ここで『福山エース』を見て吃驚仰天した。 厩舎情報欄に僕の名前が出ている。 作家山口瞳さんが福山競馬の取材のため来福中である。 (中略) マツノタ…

山歩き林道嬉し腹立たし

川柳「山歩き 林道嬉し 腹立たし」 山歩きをしていて、林道に出ると複雑な気分がします。 まず、車で来られるような人造の自然を歩かされている、 そんな腹立たしさがこみ上げてきます。 でも一方で、つまづく石や邪魔になる木がなく、 アップダウンも緩やか…

どうも東北は苦手だな(「草競馬流浪記」を読む13・上山)

岩手の水沢競馬を思い出すような負け馬券が続き、 最後に鼻差で奇跡の勝利を果たした瞳先生。 勝つことは偉いことだ。 と、しみじみと思う。 いや、競馬では、損をしないことは偉いことだ。 そう思うことにしよう。 この章では、競馬談義とともに、将棋談義…

荒木大輔が甲子園で投げてる時に(「草競馬流浪記」を読む12・園田)

姫路で出て来た実況アナ吉田勝彦が再登場。 瞳先生が人気馬で見せ場を作らなかった騎手を批判したら、 吉田さんが彼をかばった。 そうやって園田の乗り役を庇うという気持が僕には嬉しい。 公営競馬の関係者はこうであってほしい。 すっかり良い気持になって…

船橋で見たノミ屋がここにも(「草競馬流浪記」を読む11・浦和)

翌朝、早くに競馬場へ行って驚いた。 船橋で見たチンピラヤクザふうのノミ屋が 入場券売場付近に屯(たむろ)しているからである。 おそらく、 観客席のもっとも汚い競馬場がここなのではあるまいか。 笠松も汚かったが、情緒があったし ヤクザが屯するよう…

北島三郎なにしてる?(「草競馬流浪記」を読む10・大井)

ほとんどページを割かれておらず、語られてもいない。 東京競馬場で、さんざんな目にあった人が、 行くところがなくて川崎へ行くという感じがあるが それほどヒドイめにはあっていなくて 平日も競馬をやりたいという連中(主に自由業者)が 出かけるのが大井…

ノミ屋がロビーを占領して(「草競馬流浪記」を読む9・船橋)

短い文章ですが、 山口瞳という作家の社会観がよく分かる箇所があります。 公営競馬には、 ちょっと如何わしいところがある(と僕は思っている)。 その如何わしいものが許されているという社会状況を守りたい。 断固として守りたい。 しかし、ここまでノミ…

髪を切り過ぎた子供がぐずる朝

川柳「髪を切り 過ぎた子供が ぐずる朝」 このスギの木、どうしちゃったんでしょう。 アレルギーの人が怒りを込めて枝打ちをしたような。 「こんな頭じゃ学校に行けない!」と言い出しそう。

こんな奴等に負けてたまるか(「草競馬流浪記」を読む8・川崎)

ヤクザ者だらけで、シビアーな雰囲気の川崎競馬場。 旭川や水沢を遊園地とするならば、 ここは明らかに鉄火場である。 こんなふうで事件が起きませんかという僕の問いに、 係りの人は、 「最近は大きなのはありませんね」 と答えたが、僕は、逆に、 小さな不…

景色は雄大、食べ物はうまい(「草競馬流浪記」を読む7・旭川)

最後の総括で、 山口瞳がベスト3のまっ先に挙げているのが、旭川競馬場。 とても気持ちよく、楽しい旅になったようです。 スタート直後に落馬した山下騎手が、 飛びつくようにして、再騎乗に成功したという闘志や、 その山下騎手が次とその次のレースで勝利…

痔になる輓曳競馬(「草競馬流浪記」を読む6・北見)

昨秋、廃止を巡ってゴタゴタして、一応継続が決まった輓曳競馬。 一度もやったことが無いので、応援のためにやりたいなとは思うけど、 輓曳競馬を見ていると痔になるという。 心臓にもよくないそうだ。 と書かれているのを読むと、 痔主で、心臓がちょっと普…