世界一のツリー



このクリスマスシーズンに、
神戸メリケンパークで世界一のクリスマスツリーという
イベントが行われていた。

神戸港が開港150年を迎えるのを記念して、高さ「世界一」を目指すクリスマスツリーを展示するイベントが最終日を迎え、最後のライトアップが行われました。
神戸市中央区の公園「メリケンパーク」では、先月から高さ約30メートルの巨大なクリスマスツリーが展示されています。
展示は26日で最終日を迎え、最後のイベントが開催されました。


私は、そんな事が行われていたのは知ってたけど、
詳しい内容は26日のNHKのサイトのこの記事で知った。

「反対」とまでは言わないけれど、
正直、もやっとしたものは感じていたので、
この数日、自分なりに考えてみました。

【ツリーをめぐる意見】
ツリーを巡っては、そのあり方についてさまざまな意見がありました。
10代の女性は、「せっかく生えていたのに持ってくるのは木がかわいそう。森林保全のためにもやめた方がいい」と話していました。
一方、神戸市の60代の女性は、「実際に生で見ると、迫力がすごい。ツリーとしてとてもきれいで、人々を喜ばせているので別に問題はないと思います」と話していました。


そうなんだよね。
やっぱり「かわいそう」なんだ。
私も、そう思う。

自然にある命を奪うなと言うつもりはないけど、
奪うのなら命の尊厳に見合った利用をしたいもの。

「世界一」にするため、
ギネスに載せるため、
宗教心のほぼない日本人のクリスマスイベントに引っ張り出されただけ、
だとなると「かわいそう」との思いが募ってならない。


せめて教育的な側面を前に出して
展示する事は出来なかったのだろうか?

このブログでもたびたび触れているが、
私は木が好きである。

町中でも、近所の低山(六甲山系の端っこ)でも、
いろんな木を眺めながら歩いている。

そんな私が気になるのは、
他の多くの人の木に対する無関心さ。

中高年を中心に山歩き人口は増加し、
六甲山系にも人は溢れているが、
ちゃんと木を見ながら歩いている人はほぼいない。

町中の街路樹や寺社の神木なども、
視界に入っているだけ、という人ばかりではなかろうか?

そもそも、寺社内はともかく、
町中の木の何割かは、
落葉対策などで強く剪定をされていて、
本来の樹形とはかけ離れたイビツな存在になってたりする。
魅力的だとはとても言えない。

これは私個人のエゴかもしれないけど、
特に巨木や古木の持つ、
優美さ、威厳、迫力といった魅力を、
もっと多くの人に感じてもらいたい。

特に子供たちに。

林保全、自然保護ってのは、
そういった感覚から始まると信じている人間としては、
現代の日本人は木と触れ合ったり、
木について話し合う機会が少なすぎると心配しているのです。

だから、
上の六十代の方の意見の「迫力がすごい」という言葉に、
いくばくかの救いを感じました。


神戸のイベントが「木ってすごいんだよ!」
「こんなに美しくて、カッコ良いんだよ!」と
皆に伝えるものだったらなと思います。

「この木のふるさと富山県氷見市に行ったら、
兄弟のような木たちに会う事が出来て、
本の森林の素晴らしさを実感できますよ」って
教えてあげたら良かったのに。

神戸市立森林植物園に行ったら、
もっといろんな種類の魅力ある木に会える」って、
宣伝したらよかったのに。

それだけで、3億円もの輸送費用を使ったことや、
150年の樹木の命を頂いたことが、
十分に報われるのかどうかは私には分からないけど、
もう少しすっきりした心地で、
本イベントを見守れたのではないかと思うのです。


【巨大ツリー経緯と議論】
このクリスマスツリーのイベントは、兵庫県川西市出身で世界中を巡って珍しい植物を収集しているプラントハンターの西畠清順さんが企画しました。
5年前から構想をあたため、神戸市の協力を得てことし実現したもので、西畠さんが富山県氷見市に自生していたあすなろの木を見つけ、ツリーにすることにしました。
この木は、推定樹齢150年、高さ約30メートル、重さが24トンあり、先月、特殊な車両と船を使って富山県から神戸港に運ばれてきました。
イベントの実行委員会によりますと、輸送にかかった費用は3億円に上ったということです。
そして今月2日、クリスマスツリーを披露する点灯式が行われ、西畠さんの友人のシンガーソングライター、槇原敬之さんも参加し、歌声を披露しました。
巨大なツリーは多くの人を魅了した一方、議論も呼びました。
イベントの終了後、木を撤去し、一部をアクセサリーにして販売することが明らかにされると、「木がかわいそう」とか「人間のエゴだ」といった批判が連日寄せられました。
結局、販売は見送られ、実行委員会はツリーの木を神戸市の生田神社の鳥居として再利用することを明らかにしていました。


以上、引用は26日のNHKのサイトから