陀羅尼助と百草について③

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本筋に戻します。

,如伝統的胃腸薬である陀羅尼助丸と百草丸について、
辞書では全然別の薬であるように書かれているが、
買って確かめてみたところ、成分はかなり似通っていた、
という話を書きました。

そこで、以前、ガマの油についていろいろ書いたときにも使った、
宗田一著「日本の名薬」、2001年、八坂書房、という本を見ました。

するとですね、この両者は同じ薬なのだそうです(♪ちゃん、ちゃん)。

これが結論!

辞書の間違いでございます。

いろいろと調べてみると、「百草」の由来は、
中国古代の医薬の帝王である神農氏が、
「百草(百種類の草)をなめて、その薬効を試した」
という伝説からであるらしい。

つまり、辞書にあったように、百種類の薬草から作ったのではなく、
百種類(つまりたくさんとの意味だろう)から吟味選択したということ。

小学館さん、反省しなさい!
広辞苑の岩波も、反省しなさい!
(別々の辞書が同じ間違いをするのは、実は独自性がないということだ)

まったく、人を騒がせておいて、これはないよなあ。
まあ園橋が勝手に騒いだだけではあるが。

薬のデータブックも確認してみたが、
両者ともオウバクエキスが主原料となっていて、
それ以外は、製造販売会社によってまちまちである。

,寮分比較で、私が購入した二製品が完全に同じではなかったのも、
「まちまち」の範囲内の違いでしかないようだ。





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で、上記の本によれば、
この陀羅尼助という薬は、真言密教の修験者の薬なのだそうだ。

つまり、ほら貝などを吹いて歩いている山伏の薬。

山伏とは何か、との問いに、簡単に答えられる日本人は少ないだろう。
例えば、素朴な疑問を連発する外人さんに尋ねられて、
納得できるような返答を出来る人はいるだろうか。
山伏自身でも、答えられないかも。

まあ大雑把に言えば、山中において修行する密教系の行者のこと。

私の興味の中心である陀羅尼助が、
修験道の聖地である大和吉野や高野山で盛んなのは、
真言密教系の薬としての性格の表れであるらしい。

また、鳥取の大山、木曽の御嶽山、愛媛の石鎚山など、
真言修験道場にも同じ製剤が、練熊・百草などと呼ばれているのも、
山伏との関連があると思わされる、と書いてある。

なるほどねえ。


厳しい自然の中で修行し、不思議の力を得た山伏は、
立ち寄った村々で、御札を売ったり、加持祈祷をするほかに、
この陀羅尼助なども売り、生活の糧にしていたのだろう。

苦行に耐えた行者さんが常備していた薬というだけで、
なんだか有り難味がわくではないか。
私のゴロゴロピーくらい、難なくふっ飛ばしてくれそうだ。


最後に、この薬は、中国には見られない和方製剤なのだとか。
漢方ですらない、この日本伝統の薬が、
今後も長く、出来たらもうちょっと広く、愛されてほしいと思います。

この夏の暑さで胃腸がやられている皆様、是非、お試しあれ。