後ろめたい気持ちにさせる笑顔三つ

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◎川柳「後ろめたい 気持ちにさせる 笑顔三つ」





しばらく前のこと。
競馬場のパドックで馬を見ていました。

と、とことこ歩く小さな女のコが私の視界に入った。
彼女の前には小さな段がある。
ヨチヨチ歩きでは降りられないんじゃないかな・・・

「あっ、落ちちゃうかも」
そう思った時、
横にいたオッチャンが手を伸ばして女のコの肩を押さえて止めた。

すぐ母親が飛ぶようにやって来て女のコを抱き上げた。
女のコは、びっくりしたせいか「びーっ」と軽く泣いていたけど、
母親がそのオッチャンに「ありがとうございます」と言ったので、
周囲は気持ちのよい笑顔で和やかな雰囲気になりました。

「うちの孫も、だいだいこんなんやねん。男のコやけどな。
1歳と3ヶ月になりよったわ」
「あっ、だったらこの子と同じです」

そんな会話を小耳に挟んだ私に、競馬の女神が啓示をくれた。

1歳3ヶ月ということは、15ヶ月だ。
ふと15番の馬を見る。
先ほどは大してよく見えなかったのに、なぜか今度は輝いて見えた。
オッズ板を見ると、ちょうど単勝が15倍台。
(最終的には13倍台になったけど)
これは15番の馬が勝つというサインであろう。

そう確信して、単勝馬券を買い、的中した。
前走はスタートで出負けして大敗した馬が、
するすると前につけて、力強く人気馬を差し切って勝ってくれた。

競馬をやっていると、こういう事がたまにある。

普通、自分の馬券が当たるととても興奮するものだが、
こういう場合、心は月の光のように冷静である。
予想ではなく、予知をして馬券を買ったのだから、
当たって当然という心境なのである。



さて、問題は、女神は何度もこんな啓示をくれない、ということだ。
きまぐれに単発で微笑むだけ。

女神の助け無き園橋は、当然のごとく負けを積み重ねていく。
あせり、そしてあがく。

すると、特に上記のような体験の後は、
小さな女のコなど、よちよち歩きの子供が気になって仕方なくなる。

競馬をされない方は知らないだろうが、
競馬場には、とても子供が多い。
夏、阪神競馬場の噴水近くなんて、子供だらけである。

そんな風景を見つつ、
「転びかけないかな」「階段から落ちかけないかな」と思う自分がいる。
悪い期待だと分かってはいるが、そう思ってしまうのを止められない。

三人兄弟らしき子供が遊んでいる。
あの子たちが転んだら、そばにいる父親に年を尋ねる。
「2歳と5歳と7歳や」
と、答えてくれたら、三連複の2-5-7で一点勝負しよう。
そんなシミュレーションも心の中でする。

何だか大悪人になったような気もしてくる。
こんな人間に、女神はもう微笑まないだろうなと弱気になる。
弱気の馬券ってのは、当たったためしがない。
そうして更に馬券の負けはかさみ、
結局はトボトボと家路につくことになる。

何だか意図のよく分からぬ記事になってしまったけど、
競馬ってのはそんなもんだ、ということです。