松本清張「熱い絹」

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実はこれまで、あんまり松本清張の本を読んだ事はなかった。
読まず嫌いという訳ではなく、単に手を伸ばさなかっただけですけど。

それを今回読んでみたのでございます。

感想は、ただ一つ。「松本清張は、カッコイイ」

いやあ、実際のジム・トンプソンの失踪事件から、
よくここまでのフィクションを作り出せるもんだ。
唸るしかない。

旺盛な好奇心、粘り強い取材力、豊かな想像力、
の三拍子が揃っていた天才だったんだなあ。

本書では、

「OSS→CIA」「旧日本軍のマレー戦」「茶の生産」
「クメールの埋もれた遺跡と発掘品」「ドサ周り興行」
「山岳共産ゲリラ」「山岳地の少数民族」「蝶マニア」

などなど、いろんな要素を見事に織り合わせていて、
楽しめるだけでなく、勉強にもなるのである。

正直なところ、トリックには無理があるようにも思うのだが、
補って有り余る程のものを得られるのだから、
そんなことはどうだっていい。



新しい読書の鉱脈を掘り当てたような気がしますです。
全集で66巻もあるんだから、当分は尽きることはなさそうです。