読書

矢部太郎「大家さんと僕」

矢部太郎「大家さんと僕」というエッセイ漫画を読んだ。 台風情報をラジオで聞きつつ、 一気に読みました。 昨年発売で、大評判となり、 賞も取り、売れまくってる本であるし、 今さら私ごときが書くようなことはないんだが・・・ 感想は、面白かった、です…

白水貴「奇妙な菌類:ミクロ世界の生存戦略」

白水貴「奇妙な菌類:ミクロ世界の生存戦略」 菌類(真菌が主)について初心者の私には、 とても興味深い読書になりました。 まず菌類の総体的な説明が簡単にあり、 それから個々の菌の不思議について 小ネタ的に並べられている一冊。 「小ネタ」と書いてし…

土屋健「エディアカラ紀・カンブリア紀の生物」など

長らく読書記事を書いていなかったけど、 もちろんちょろちょろと読んでいました。 もっぱら、この長いシリーズを堪能してたのです 土屋健「エディアカラ紀・カンブリア紀の生物」 ~ 「白亜紀の生物 下巻」 基本、全十巻のシリーズで、 白亜紀(下)の次に…

五輪をラジオで聴きつつ読書三冊

どれも面白かったので、 一冊ずつ記事にして紹介したいのだが、 まとめてしまいます。 五輪を聴きつつ、と書いたけど、 先週末に読んだのも含まれておりまする。 高橋大輔「漂流の島:江戸時代の鳥島漂流民たちを追う」 先週末、本書を読んでから、 孤独とは…

パット・シップマン「ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた」

パット・シップマン「ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた」 今、この辺りの一般書を読んで辛いのは、 数年で定説も仮説もひっくり返ってしまう場合が多いこと。 本書も、ネアンデルタール人の絶滅の時期について、 定説が覆された事が大きなきっか…

師走の読書三冊

返却期限が迫っているので、まとめて三冊。 ジェイムズ・リーバンクス 「羊飼いの暮らし:イギリス湖水地方の四季」 観光で有名なイギリスの湖水地方で 伝統的に行われる羊飼い。 著者自身が幼い頃から携わってきた生業が、 実際にどのように行われているか…

井田徹治「鳥学の100年:鳥に魅せられた人々」

井田徹治「鳥学の100年:鳥に魅せられた人々」 日本の鳥の研究の歴史を、まとめた本です。 明治から百数十年という時が流れ、 多くの学問分野で100年以上の歴史が積み重なった。 もちろん、それぞれの分野に携わる研究者にとっては、 常識なのだろうけ…

「野生動物カメラマン」

岩合光昭「野生動物カメラマン」 何よりも、ハイエナ、ライオン、ホッキョクグマ、 ペンギン、パンダ、ニホンザルなどの、 とっても愛らしい写真は一見の価値以上のものがあります。 それらを眺めるだけで、幸せな気分になれました。 新書版でサイズが小さい…

「恐竜はホタルを見たか」

大場裕一「恐竜はホタルを見たか:発光生物が照らす進化の謎」 まず何よりも、 この「岩波科学ライブラリー」は、読みやすい。 新書よりも薄く手軽な中身になっていて、 難しくないのが多いから素人には有り難いです。 これからもお世話になります! ホタル…

「さらにわかった! 縄文人の植物利用」

工藤雄一郎・国立歴史民俗博物館編 「さらにわかった! 縄文人の植物利用」 雨のおかげで、 読書のはかどる週末ではありました。 前作「ここまでわかった!」がとても面白かったので、 借りてきた一冊。 前作ほど、栽培に関する記述が多くなかったのは、 私…

最近の自然関連読書三冊

鈴木三男「クリの木と縄文人」 クリの木が中心ではあるが、 縄文時代の森林がどんな状態だったのか、 現時点で分かる範囲で教えてくれるのが、 本書の価値だと思いました。 完璧に分かるのではなく、 おぼろげなのでもどかしいが、 それは古い時代なので仕方…

小畑弘己「タネをまく縄文人」

小畑弘己「タネをまく縄文人:最新科学が覆す農耕の起源」 とても参考になる、面白い本でした。 方法論を含め、いろいろ書かれているのだが、 私にとっては150ページの内容が、 非常に興味深くて何度も繰り返し読ませてもらっている。 「九州地方の事例を…

夏の昆虫関連の読書

この数年、生き物関連の本をよく読んでます。 その流れで、この夏に手にした昆虫本三冊の紹介。 「お勧め」という訳ではないので、 個人的な備忘録であります。 佐々木洋「ナンコレ生物図鑑:あなたの隣にきっといる」 扱われるのは昆虫が多いけれど、 昆虫…

荒川弘「銀の匙 Silver Spoon 14」

荒川弘「銀の匙 Silver Spoon 14」 13巻は、時間をすっとばしていて、 一冊のコミックとしての面白さは薄かったし、 それから休載が何度もあり時間が開いたので、 全く期待せずに読みました。 一言で言えば、「らしい」世界が展開されていて、 かなり面…

カレル・チャペック「園芸家の十二ヶ月」

カレル・チャペック「園芸家の十二ヶ月」 何も知らずに、図書館での冊数合わせで借りました。 もう古典として、相当有名な本なのですね。 園芸家12カ月 (中公文庫) こっちの翻訳の方が、よく知られているようです。 簡単に言ってしまうと、 園芸家「あるある…

「植物化石:5億年の記憶」

「植物化石:5億年の記憶」 進化について、 文字ばかりで詳しく説明された分厚い本も勿論良いのだけど、 豊富な化石の写真を鮮明に豊富に載せた本書は、 ぼんやりと眺めるのに最適だし、 想像が膨らんで実に有意義な時間をプレゼントしてくれる。 私など、…

小松貴「虫のすみか:生きざまは巣にあらわれる」

小松貴「虫のすみか:生きざまは巣にあらわれる」 「裏山の奇人」に続く、 小松先生による実質二冊目の著作である。 相変わらず、抜群に面白い。 前作のような興奮はないが、 一つ一つの節を丁寧に読ませてもらい、 進んだり戻ったりで堪能させてもらいまし…

小原嘉明「進化を飛躍させる新しい主役」

小原嘉明「進化を飛躍させる新しい主役:モンシロチョウの世界から」 モンシロチョウのオスは、 どうやってメスを見分けるのか、 という話題から始まる。 紫外線うんぬんとの、 どこかで聞いたことのある内容である。 「ジュニア新書」だから、 「ふんふん、…

スコット・リチャード・ショー「昆虫は最強の生物である」

スコット・リチャード・ショー 「昆虫は最強の生物である: 4億年の進化がもたらした驚異の成長戦略」 翻訳本によくありがちなことだが、 内容とタイトルにズレがあります。 センスの無い奴が「最強」とかつけたがりますね。 原題を直訳すると「虫たちの惑…

舘野正樹「日本の樹木」

舘野正樹「日本の樹木」 とある本を読んだ際、 参考文献の一番手として本書が挙げられていた。 そこで大変楽しみにしつつ手にしたのだが、 「カラー新書」でありました。 非常に美しい写真と、簡潔で読みやすい文章。 森や木に対する愛と共に、 最新の基本的…

森廣信子「ドングリの戦略」

森廣信子「ドングリの戦略:森の生き物たちをあやつる樹木」 私は「いらち」である。 だから、すぐに明快な答えを求めてしまう癖がある。 「この植物は○○である」 「この動物は△△である」 などと、きっぱり単純に書かれてあると、 簡単に目からウロコが落ち…

宇江敏勝「熊野川:伐り・筏師・船師・材木商」

宇江敏勝「熊野川:伐り・筏師・船師・材木商」 前回、自伝的作品を読んだのに続き、 今度は著者が熊野川に関わった人達から その人生について聞き書きしたり、 纏めたりしたものを読ませていただきました。 これもだいたい昭和初期から30年代くらいまで、…

園池公毅「植物の形には意味がある」

園池公毅「植物の形には意味がある」 読んでいて悔しくなる一冊でした。 私だって、小中時代に生物を習ったはずだが、 つまらなかったとの記憶しかない。 教師も、熱心さを完全に欠いていたのばかり。 結局のところ、生物嫌いを作るための授業だったような。…

宇江敏勝「森とわたしの歳月:熊野に生きて七十年」

宇江敏勝「森とわたしの歳月:熊野に生きて七十年」 個人的な感想に過ぎないが、 日本の山を総じて見るに、 「なぜ、こんなに人工林だらけにしちゃったのか」 と、ため息が出ます。 もちろん、理由は知ってます。 分かってながら、ため息が出るのです。 さて…

大村嘉人「街なかの地衣類ハンドブック」

大村嘉人「街なかの地衣類ハンドブック」 昨年の三月、こんな記事を書いてました。 http://blogs.yahoo.co.jp/ichiyasu_ichiyasu/63477541.html 地衣類には、素人に分かりやすい入門書がない、と。 すると、私にとってはちょうど良いタイミングで、 昨年10…

塚谷裕一「森を食べる植物:腐生植物の知られざる世界」

塚谷裕一「森を食べる植物:腐生植物の知られざる世界」 素晴らしい本でありました。 身近なところではギンリョウソウに 代表される腐生植物は、 カビやキノコの菌糸を栄養源にして暮らしています。 (だから「腐生」という表現は適切ではなく、 呼び方を改…

正月前後の読書など

有馬記念の直後、 競馬場からの帰りに図書館に寄り、 限度いっぱいに本を借りて来た。 その内何冊かを正月に読み終えたのですが、 偶然ながらどれもストーリーはなく、 テーマに沿って事象を羅列したものでした。 「羅列だけでは意味がない」って言い方もあ…

岡西政典「深海生物テヅルモヅルの謎を追え!」

岡西政典「深海生物テヅルモヅルの謎を追え! :系統分類から進化を探る」 今年の春頃まで、 集中的に読んでいた「フィールドの生物学」の一冊。 5月末に出版されたもの。 ちょっとタイトルに偽りあり、かな? 特に「謎を追う」は前面に出てないし、 「進化…

北尾トロ「猟師になりたい!」

北尾トロ「猟師になりたい!」 「山の近くで愉快にくらす 猟師になりたい! 2」 フリーのライターさんが、 50代半ばにして、 長野県に移り住んで猟師になるという体験エッセイ。 空気銃で鳥を撃つ猟師さんになるのだが、 二冊目のエッセイを読み終えても…

中村浩志「ライチョウ」

最近、自然系読書での好調が続いています。 なかなか良い本ばかり。 馬券成績が最悪な分、 ここでバランスが取れているようだ。 嬉しくもあり、悲しくもあり。 で、この本も良かった。 中村浩志「二万年の奇跡を生きた鳥 ライチョウ」 三年前に出されたもの…