「恐竜はホタルを見たか」
まず何よりも、
この「岩波科学ライブラリー」は、読みやすい。
新書よりも薄く手軽な中身になっていて、
難しくないのが多いから素人には有り難いです。
これからもお世話になります!
ホタルだとか、海のイカやクラゲだとか、
いろんな発光生物についてまとめてあるのが本書。
生物種は多岐にわたるけど、
「進化」が常に根本にあるから、
雑多な感じは全く無く、
生命の歴史の流れが分かる内容になってます。
第一章に、こんな文章があります。
どうも人間にはなぜか
「光るのは偉大なこと」だと思ってしまう
避けがたい力がどこかに働いているようだ。
(中略)
わたしは、生物が光ることが「すごい」と感じるのは
かなりの部分で人間の思い込みなのではなかろうか
という気がしている。
その理由が、読み進めると分かってきます。
世界にはいろいろな発光生物がいるが、
それらは生物分類群ごとにみな独立に発光する能力を進化させた。
ひとつの共通祖先に由来する訳ではない。
考えてみれば、飛ぶ能力も同様だ。
虫が飛ぶ、鳥が飛ぶ、コウモリが飛ぶ。
これらもそれぞれ独立に能力が進化している。
人間は勝手なもので、
自分たちに出来ない事を「すごい」と思ってしまうのだが、
長い進化の歴史の中では案外簡単に達成されている
という見方の方が良いのかもしれませんね。
もう一つ、本書は、科学的思考をどう進めて行くか、
という点を知るにも役立ちます。
短いながら、良書だと思いました。