パット・シップマン「ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた」
今、この辺りの一般書を読んで辛いのは、
数年で定説も仮説もひっくり返ってしまう場合が多いこと。
本書も、ネアンデルタール人の絶滅の時期について、
定説が覆された事が大きなきっかけになっている。
本書を構成している事実も、
本当に大丈夫なのかどうか・・・
でも、素人も含め、世界中の研究者の多くが強く興味を持ち、
本気になって議論し研究している内容であり、
書き手らの熱さが伝わって来て、
読み物としてはとっても面白い。
分かって来た事実そのもの、
それを踏まえての仮説の斬新さだけでなく、
研究者たちの思考経路を楽しむという面でも、
相当な読み応えがあります。
本書のタイトルである、
ネアンデルタール人をヒトとイヌ(オオカミイヌ)が絶滅させた
という点については、
あくまでも仮説である。
非常に興味深い指摘であるけれど、証拠はまだない。
その部分以上に、私としては、
現生人類は「侵入生物」であるという視点の斬新さに舌を巻いた。
近所の山を歩いて、
最近はソウシチョウの多さにウンザリとし、
春~秋に野や山際の帰化植物の種類と量に辟易していたが、
私たち自身が長い目で見れば「侵入生物」だったのか!!
確かにそうだ。
そうして、我々が侵入したことで、
ネアンデルタール人も含めて、数多くの生き物が絶滅した。
ソウシチョウがウグイスの生息地を奪うように・・・
目からウロコでした。
この知見を、自分としてどう活かせばよいか分からないが、
自然を見る目を変えなきゃなとすら思います。
読んでヨカッタ。