師走の読書三冊



返却期限が迫っているので、まとめて三冊。





観光で有名なイギリスの湖水地方
伝統的に行われる羊飼い。

著者自身が幼い頃から携わってきた生業が、
実際にどのように行われているかを、
祖父・祖母、父の人生や価値観、
世間一般との軋轢などに詳しく触れながら、
とても分かりやすく書かれている良書でした。

ところで、本書は世界的ベストセラーなのだそうだ。

実のところ、その点が私には意外でした。

私は、自然や農業に関する本はよく読む方である。
だから本書も非常に参考になった。

でも、私の様な人間は少数派である。
日本でも、多分世界でも、
この分野の本が好事家の域を超えて多く読まれる事は少ない。

本書の何が、普段は農業関連本を読まない人の心に触れたのだろう?

最初に出てくる学校教師が押しつけてくる価値観との対立が、
そのヒントなのかなあ?

日本の場合、伝統的な生業を「時代遅れ」とする感覚は、
少なくとも知識人と言われる人の間では、
もうずいぶん昔に消えていたと思うのである。
その辺り、まあまあ柔軟なのだ。

イギリスでは、ちょうど今、その過渡期なのかな。
スコットランド独立とか、EU離脱とか、
そんなニュースを耳にする昨今ですし。

ま、これは英国の実情に詳しくない人間の勝手な想像である。
そんな事を考えずとも、
なかなか読みごたえのある一冊でした。






「知性」にそこまでこだわる必要があるのか、
という疑問にずっと付きまとわれる読書でした。
とっても西欧人的な感覚がして。

しかし、内容はかなり面白い。

最後に、インターネットとスーパーコンピューターの違いとの比較があり、
そこで私は思わず膝を打ち、
本書の真の価値が理解できたような気がします。

読み終えたときに、世界観が変わってる、
そんな一冊でした。






広く浅くの入門書。

「観察する目が変わる」というより、
素人の場合、
自分の観察結果をどうまとめるべきか悩んだら、
本書を手に取れば良いのではないか。

何が足りないか、次にどう進めば良いか、
基礎の基礎がよく分かります。

最近多い「入門書」は、
綺麗な写真でごまかされているような気分になりますが、
本書の場合それはありません。