北尾トロ「猟師になりたい!」







フリーのライターさんが、
50代半ばにして、
長野県に移り住んで猟師になるという体験エッセイ。

空気銃で鳥を撃つ猟師さんになるのだが、
二冊目のエッセイを読み終えても、
まだ一羽しか撃ち落しておられません。

全くの素人さんが猟師を目指すところから始まっていて、
手続きとか、周囲の反応とか、
軽快な文章で描かれていて面白いです。

素人だからこそ、
目線が私たちと同じというのが有り難い。
不安や喜びを共有できますから。

また、著者の人柄もあるのだと思うけど、
先輩の猟師さんたちとの人間関係が形成されていく過程に、
地方の温かみと人懐っこさが感じられてよい雰囲気だし、
いろんな方々の話を取材で聞かれている内容からは、
日本の野生生物と狩猟の置かれている現状が伝わってきます。


図書館に行くと、「狩猟本」が結構何冊もあります。
「ブームに乗っただけ」と私は敬遠して来ましたが、
実際に手に取ると、次々に出版されている理由が分かりました。

「当り」本が多いんですね。

実際に猟師を目指すかどうかはともかく、
心底「猟師」を楽しんでいる方が書く文章は、
なかなか良いものです。

普段は、その存在すら意識しない対象だからこそ、特に。