塚谷裕一「森を食べる植物:腐生植物の知られざる世界」






素晴らしい本でありました。

身近なところではギンリョウソウに
代表される腐生植物は、
カビやキノコの菌糸を栄養源にして暮らしています。
(だから「腐生」という表現は適切ではなく、
呼び方を改めようという動きが活発なのだ、とか)

カビやキノコの菌糸を食べるということは、
間接的に森を食べている植物となり、
豊かな森でないとなかなか見る事が出来ない、そうだ。

そんな腐生植物とはどんなものかの解説から、
実際のフィールドでの新種発見譚などが本書の内容。

ページ数は少なく、写真が多いので、
あっと言う間に読み終えてしまいましたが、
充実感たっぷり。
大満足です。


光合成をしないから、
白や、黄色や、青や、不思議な色をしていて、
その魅力的な姿の写真はため息が出るほど美しい。
眺めるだけで、十分な価値があります。

文章も簡略で分かりやすく、
腐生植物についての理解が深まって行くと、
森に対する理解にも繋がるという内容は、
さすがの一言。


誰彼となく、お勧めしたい一冊でした。