#生物学

小松貴「虫のすみか:生きざまは巣にあらわれる」

小松貴「虫のすみか:生きざまは巣にあらわれる」 「裏山の奇人」に続く、 小松先生による実質二冊目の著作である。 相変わらず、抜群に面白い。 前作のような興奮はないが、 一つ一つの節を丁寧に読ませてもらい、 進んだり戻ったりで堪能させてもらいまし…

小原嘉明「進化を飛躍させる新しい主役」

小原嘉明「進化を飛躍させる新しい主役:モンシロチョウの世界から」 モンシロチョウのオスは、 どうやってメスを見分けるのか、 という話題から始まる。 紫外線うんぬんとの、 どこかで聞いたことのある内容である。 「ジュニア新書」だから、 「ふんふん、…

塚谷裕一「森を食べる植物:腐生植物の知られざる世界」

塚谷裕一「森を食べる植物:腐生植物の知られざる世界」 素晴らしい本でありました。 身近なところではギンリョウソウに 代表される腐生植物は、 カビやキノコの菌糸を栄養源にして暮らしています。 (だから「腐生」という表現は適切ではなく、 呼び方を改…

生物多様性

最近、よくここで自然・生物の本の感想を書いている。 面白く感じた本が多いからブログ記事にする訳だが、 「ハズレ」本だって、あるにはある。 連休中に目を通した生物多様性についてのものも、そう。 書かれてあった通りなのだが、 「生物多様性」という言…

盛口満「雑草が面白い」

盛口満「雑草が面白い」 私にとって、盛口先生の本はどれも面白く、 こんな方が日本にいて下さって天に感謝しております。 本書も、とっても為になりました。 中でも、阪本寧男先生の論文から書かれている部分は 盛口氏も書かれている通り目からウロコであり…

トゲシバリ? 地衣類で途方に暮れる

近所の山歩きをする際、昨年来 分からないながらシダはきちんと見るようにしている。 今年に入り、 コケ関係の本を数冊読んだり眺めたりして、 コケも常に目に入れるようにしている。 同定は全く出来ていないけど。 順番に科学的意味はないが、 シダ→コケと…

佐藤寛之「琉球列島のススメ」

佐藤寛之「琉球列島のススメ」 アマゾンでレビューが一つも入らないから、 どんな本なのかと心配しつつ手にしました。 ・・・良い本でしたよ! このシリーズの他の本は研究者によって書かれていますが、 本書は学位は持っておられるけれど、 フリーの「生き…

塩尾寺のウラジロガシ

宝塚市内の木について、 いろいろ書くつもりではあるのですが、 私が知っているのは南半分ばかり。 中山連山と東六甲の端っこは頻繁に歩くけど、 西谷という北地区のことはほぼ知らないので、 ご容赦くださいませ。 さて、そんな私が知る範囲で、 最も立派な…

行者山のソヨゴ

我が町、宝塚市の木について、 いろいろと書ける事を書いていくつもりです。 ところが、特に立派な森林がある訳でなく、 自慢できるほどの巨樹もない。 何かないかな~ってんで、この行者山のソヨゴ。 図鑑的には、 ソヨゴは樹高5~10mと書いてあるのが…

皇大神社のムクノキ

宝塚市の小浜にあるムクノキ。 この神社には 市指定の保護樹となっているムクノキが7本あり、 その一本であります。 こんなに曲がっちゃって、 大丈夫なんかいなと思う一方、 曲がっているから人間によって支え易くなっていて、 より長生きできるんじゃない…

「フィールドの生物学」完読への道③

このシリーズを18冊全部読もうと思いたって、 現時点では残りあとわずか。 我が宝塚市の図書館にはかなりの数が揃っていて、 非常にありがたいのですが、全てではない。 近隣図書館から取り寄せて、 やっとこの二冊を借りられました。 ただ、どちらも、Ama…

「フィールドの生物学」完読への道②

それぞれ中身が充実しているので、 この三冊をひとまとめにしちゃうのは申し訳ないが、 だらだらと続いている記事でもあるので。 松田一希「テングザル:河と生きるサル」 テングザルは、川沿いか海沿いの木の上で眠る。 そのため、これまでの研究は、 ボー…

金森朝子「野生のオランウータンを追いかけて」

金森朝子「野生のオランウータンを追いかけて: マレーシアに生きる世界最大の樹上生活者」 本シリーズも、ずいぶんと読ませていただきました。 海外のフィールド調査をしたいと考えている若者に、 どれか一冊だけ推薦するとしたら、 私はこの本を選びます。…

ぶら下がる幼虫について

このブログもずいぶん長い。 何年か前に、 春、木の枝からぶら下がる幼虫について、 何の為だろうかと、書いたような記憶がある。 天敵だと思われる鳥に対しては、 目立ってしまって、パン喰い競争のパンみたいで、 危険極まりないだけではないか、と。 ちょ…

「フィールドの生物学」完読への道

もう全部読む事に決めたのである。 現時点で18冊が出版されています。 近隣の図書館で貸出予約をしたら、 一気に集まってきたので、集中的に読みました。 松林尚志「熱帯アジア動物記:フィールド野生動物学入門」 本シリーズの第一作。 単に動物の生態に…

ネジキの赤い枝

我が近所の東六甲の山々は、 「ツツジ山」と呼んでもいいくらい、 ツツジ科の木がたくさん生えている。 コバノミツバツツジ、ヤマツツジ、モチツツジ、 ネジキ、シャシャンボ、シロバナウンゼンツツジ、 スノキ、ナツハゼ、アセビ・・・ 種類も豊富です。 先…

コケは難しい

年末年始に「コケの自然誌」を読んで以来、 コケに少なからず興味を抱くようになりました。 近所の町中にも、山中にも、 コケは至る所に生えていますが、 これまで見て見ぬふりをしてきた反省もこめて。 頭でっかちなワタシですから、 図書館で、立て続けに…

コナラドングリの発芽

冬ですから、山に花は少ないです。 そんな中、一番美しいと思ったのが、これ。 ナラ枯れが進行している雑木林で、 コナラのドングリが発芽していました。 真っ赤なんですね! 命の赤!! でもこれも、ちょっと早いのでしょうか? 先日のような大寒波はもう来…

まだまだ読書運の好調が続く

斉藤政美、椎葉クニ子「おばあさんの「植物図鑑」」 1995年4月に出版された本。 ちょうど神戸の震災忌の日前後に私は読んだが、 その震災やオウム事件の頃のものでした。 宮崎県椎葉村で、 伝統的な焼き畑をされている方が、 日々の暮らしの中で、 植物…

年末からの自然系読書

今年に入ってあまりついてない気はするけど、 昨年来の読書運は絶好調です。 悪いことは忘れて、 良いことに意識を集中させましょうぞ。 一冊ずつ、丁寧に紹介するべきですが、 返却期限があるので一括して簡略に。 米倉久邦「日本の森列伝:自然と人が織り…

ネイティブアメリカンとコケ

昨日記事にした「コケの自然誌」の中で、 「ネイティブアメリカンとコケ」の章が、 個人的には非常に気になったので、 改めて。 ほとんど抜き書き記事になってしまいますが、 悪しからず。 ネイティブアメリカンのものの考え方では、 すべての生き物にはそれ…

コケの自然誌

ロビン・ウォール・キマラー著 三木直子訳「コケの自然誌」 2012年に出版されているから、 昨年末に手にした私は3年ほど、 この素晴らしい本を読まずに過ごしていた訳だ。 何と勿体ないことか! 年を越して読ませてもらいました。 読書締めと、読書初め…

暖冬のせい?(その5)

今回は草本です。 木本以上に同定に自信はありません。 間違いもあると思いますので、 最初に謝っておきます。 ハハコグサに見えます。合ってるかな? 一般的には花期4~6月。 コセンダングサ。 花期9~10月。ま、これはつい最近まで咲いてたし。 たぶ…

暖冬のせい?(その4)

コバノミツバツツジが咲いてました。 毎年、早春に咲くのを楽しみにしているんだが、 こんな時期に咲かれてしまった。 確か、昨年の正月にも、 咲いている木を一本だけ見つけて記事にしました。 でも今日は、何本もの木で咲いてました。 季節感がおかしくな…

暖冬のせい?(その3)

ヤブツバキです。 けっこうたくさん咲いてました。 12月に咲くこと自体は普通ですが、 数多く咲くのは暖冬のせいなのだとか。 今咲いてしまうと、 本来の盛りである3、4月に あまり咲かなくなるんだって。 ヤブツバキは山の中に咲いていたものですが、 …

暖冬のせい?(その2)

前回は、町中のお寺のシキミでした。 今回は、山中のヤマツツジ(だと思う)です。 ツツジは帰り花が割とあるので、 異常事態とまでは言えないでしょう。 でも、新葉も出てるなあ。 ↓ちょっと追加で。 http://blogs.yahoo.co.jp/ichiyasu_ichiyasu/63381535.…

暖冬のせい?

シキミの花が咲いてました。 冬咲きの品種なのでしょうか? それともやっぱり暖冬のせい?

小川真「森とカビ・キノコ」

小川真「森とカビ・キノコ」 まず最初に、苦情を書いておく。 タイトルが悪い。 本書の中身を反映できていない。 副題は「樹木の枯死と土壌の変化」。 こっちをメインにすべきだったろう。 トンカツを、 「パン粉料理です」と出されたような気分だった。 苦…

アサギマダラ、捕まえるんだった!

昨日の散策中、 アサギマダラ(ですよね?)が ヒヨドリバナで吸蜜してました。 道路側から上に載せた写真をとり、 よく見えるように逆側に回り込もうとすると、 逃げられてしまったので、 この写真一枚だけです。 でも、帰宅後によく見ると、 何やら翅に書…

ナラ枯れ

※本記事は、兵庫県のサイトを参考に作りました。 http://web.pref.hyogo.jp/af17/af17_000000026.html お盆某日、宝塚市内の東六甲の山並みを見て。 「?・・・紅葉?? まさかね」 幾分涼しい日でしたが、 ハゼノキにしたって、まだ先でしょう。 これはもし…