年末からの自然系読書



今年に入ってあまりついてない気はするけど、
昨年来の読書運は絶好調です。
悪いことは忘れて、
良いことに意識を集中させましょうぞ。

一冊ずつ、丁寧に紹介するべきですが、
返却期限があるので一括して簡略に。





この一冊だけが研究者ではなく、
ジャーナリストさんの本です。
とは言っても森林に関する知識は豊富だし、
丁寧にバランスも良く取材もされているし、
なかなか好著でした。

中高生あたりが、こういうのを読んで欲しいなあ!



以下三冊は、「フィールドの生物学」シリーズです。
著者の成長過程と研究の進展がリンクしています。
どれも興奮させられました。




ドリアンのこと、パームシベットのことなど、
本書の分量の9割方の内容も100%楽しめました。

ただ、最後の「多様な熱帯雨林」の章で、
非常に大きな話題に展開して行く所に、
私の熱帯林に関する認識もちょっと変えさせられて、
思わず「ほお!」と膝を打ちました。




歴史的に、数多くの研究が積み重ねられてきた分野で、
若い日本人が世界の認識を変える様な
大きな仕事を成し遂げていく、という内容です。

しかも、その方法が、
最新の研究機器を使い多大な予算を使ってではなく、
地道で丁寧に、創意工夫を持った実験を重ねてです。
痛快であり、勇気づけられる一冊。




このシリーズには珍しい古生物学。
読み進めると、
昔の生物の興味深い身体の仕組みが明らかになり、
安易な言葉ながら生命の神秘に驚かされる。

また、著者が苦手だと自分で思っていた方法に
チャレンジしていく姿も頼もしくて好ましい。

「椎野君、学問とは気合だよ」

という言葉は、まさに至言である。





こちらはある程度ベテランの研究者によるもの。

とっても分かりやすい文章で、
実験をする研究者としても、
研究の世界の解説者としても、
著者は第一級の能力を持っておられるようだ。

一般論の部分ですが、
第二章での「自然選択による適応」の解説は、
価値の高い内容となっている。
ここだけでも読んで損は絶対にない。

以降は、著者ご自身や、研究室のメンバーによる、
実験結果と、その位置づけである。

被食者が天敵から受ける効果というものは、
食われて数が減るだけでなく、
むしろ食われないように被食者が発動する
捕食回避策を媒介して間接的にはたらいているのではないか

という仮説を実証しようとするそれぞれの実験は、
どれも素人にもわかりやすくて面白い。



今回の読書はどれも、
自然科学の研究ってのは、
一種の冒険であってワクワクさせるものがあると、
改めて教えてくれるものでした。
元気をもらえます。