スコット・リチャード・ショー「昆虫は最強の生物である」







翻訳本によくありがちなことだが、
内容とタイトルにズレがあります。
センスの無い奴が「最強」とかつけたがりますね。

原題を直訳すると「虫たちの惑星:進化と昆虫の台頭」。

ま、日本語タイトルのレベルの低さによって、
価値が落ちてしまうような中身の本では無いですけど。


内容は、昆虫の登場とその進化から、
地球の歴史を再構築しようとするもの。

私たちが普通に接する進化生物学は、
脊椎動物中心に筋が組み立てられている。

しかし、現実の地球は虫だらけのなのだから、
節足動物や昆虫を中心視するべきだし、
そうする事によって見えてくる事がたくさんある。

そんな考えの昆虫学者による意欲的な労作でありました。


私自身、生物の進化について、完全に勉強不足なので、
全てが新鮮に読めてしまいました。
本書を批判したり、解説したりする能力はありません。

たいへんに面白く、興奮しながら読んだのですが、
二読三読したり、他の進化についての本も読んだり、
努力を重ねないと本書の真価を語れないなと思いました。


今のところ、本書で一番印象に残ったのは、以下の文章。

(前略)さらには生物全般の性質について、
一つの単純な教訓が得られる。

それは、多様性が多様性を促すということだ。

複数の種が共存して互いにかかわり合うと、
多種多様な行動が発達する。

時が流れるにつれて、さらに多くの種が出現し、
生物多様性もより複雑かつ興味深くなっていくようだ。

生物ってのは、複雑すぎて難しすぎます。
でもだからこそ、面白すぎる!