小畑弘己「タネをまく縄文人」










とても参考になる、面白い本でした。

方法論を含め、いろいろ書かれているのだが、
私にとっては150ページの内容が、
非常に興味深くて何度も繰り返し読ませてもらっている。

「九州地方の事例を軸に、暫定的に」との断り書きがあって・・・



Ⅰ期 後期旧石器時代(1万6000年前以前)

有用植物の栽培開始:
ヒョウタンを容器として利用するために栽培した可能性がある


現時点で分かっている農耕の第一歩が、
食糧ではなく、容器であるというのが面白い。
ペットボトルに水を入れて持ち歩くような感覚だろうか。

確かに、水の有無によって、
人間の行動範囲はかなり変わる。

狩猟も、採集も、成果が格段に違った事だろう。



Ⅱ期 縄文時代草創期~早期(1万6000~7300年前)

食用植物の栽培開始:アサ、エゴマ、ヒエ、アブラナ科


ヒエなどの穀物が早かったのは分かるが、
エゴマアブラナのような油性種子も早かったんですね。

動物性にせよ、植物性にせよ、
食糧が豊富でない時に身体に油を入れた時の感覚、
ちょっとだけ分かるような気がします。



Ⅲa期 縄文時代前期(7300~5500年前)

マメ類・ウルシの栽培開始
(中部高地や西関東地域を中心として)


本書は、マメ栽培について、かなりいろいろ書かれています。

縄文人の生活をかなりの程度支えたダイズやアズキ。
高タンパクな食事をしてたんですかねえ。
彼らの肉体を、見てみたい気がします。

窒素固定という点でのマメ類栽培の利点について、
もうちょっと知りたいなと思いました。



Ⅲb期 縄文時代後期~晩期前葉(5500~2860年前)

植物栽培の隆盛と全国的拡散、九州への東日本系栽培植物の伝播

西日本にマメ栽培の中心地が移行していく。
東・東北日本を中心としてクリの管理栽培が開始


縄文時代のクリに関しては、
別の本を読んだので、そちらで紹介します。



Ⅳ期 縄文時代晩期中葉~後葉(2860~2800年前)

大陸系穀物流入

アワ、キビ、イネ。コムギ、オオムギも可能性あり



V期 弥生時代早期以降(2800年前以降)

水稲耕作の到来




縄文時代について、それから農耕の期限について、
書かれている本はいろいろあり過ぎて、
私の中では整理のつかない状況が続いていました。

取り敢えず、私自身は本書の内容を基本として、
今後の知識を積み上げていけたらなと思ってます。