ディック&フェリックス・フランシス「審判」

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買う気はしないので、図書館で借りられるまで待ってました、
復活後第三弾の「審判」でございます。
実質、フェリックス・フランシスの作品と考えられます。

読み終えて、さて、どう評価したものか・・・

ディック・フランシスの作品だと思うと、
こちらの期待度もかなり高いものがあるので、難しいんですよねえ。

意欲的であるし、緊迫感のある読みどころもあるし、
ミステリに詳しくない私だけど恐らく水準以上の出来なのでしょう。

しかし、悪人の描き方が不十分すぎます。
粗野で脅迫という手段を安易に選択し、
自己抑制も満足にできない悪人であるなら、
人生のもっと早い段階で社会人として脱落している筈だと思うんですよね。
人を使う雇用者として、事業者として、成功したりするだろうか?

まあ悪人側の人格形成過程が見えてこない不自然さってのは、
ディック・フランシス往年の作にもあったことだけど。

主人公の側も、出来すぎていて、感情移入が難しいようです。
結局、脅迫を受けて立つには、金がないと駄目って事ですかねえ。
その点がとっても気になったな。

チコのような名わき役もいないし。
アーサーという事務の男の人は、もっと面白いキャラに描けたんじゃないか?



さて、私の結論でございます。

はっきり言えば「不満」。
魅力的な小説にあるべき何かの調味料が不足してます。

でも逆に、もう一味を加えてあれば、
かなり満足出来たのではと思わせる潜在力も感じます。

まだまだ見捨てる訳にはいきません。

アマゾンの英語サイトを見ると、
8月25日には今年の新作が出るようですね。
タイトルは"Even money"で、賭け屋さんの物語であるようです。

きっと来年の今頃だろうけど、どんな思いで読むことになるのやら。