ディック・フランシスさま、有難うございました

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元騎手で作家のディック・フランシス氏が亡くなられた。89歳。

私が一番好きなミステリー作家です。
いや、全てのジャンルの本の中で、彼の作品群が一番好きとも言える。
あまり小説って読まないのですが、彼のだけは例外でした。
(父子共作の最新作「拮抗」だけが未読)
競馬に対する考え方、特に障害競走について、強く影響も受けています。

正直、私の中で、彼の作品の存在は大き過ぎて、強過ぎて、
それをどう表現するべきなのかすら分かりません。


  私は彼の人生を引き継ぎ、彼を埋葬したが、
  今のこの瞬間、足首が痛みうずいてはいるものの、
  こんな幸福な気分を味わうのははじめてだ、と思った。


大好きな作品の一つ「直線」の最後の一文です。

読書が素晴らしいのは、
読むことで書き手の人生の一部を自分の中に取り込み、
引き継ぐ事が出来る点でしょう。

その価値のある書に出会えた時の喜びといったら、
無上のものがあります。
私にとってディック・フランシスはその無上の存在でした。

彼の作品を読むことで、
ちょっとずつ彼の人生を引き継いでいるつもりになり、
その度に「幸福な気分」を味わってきたのです。

偉大なる競馬の障害騎手にして、偉大なるミステリー作家を、
人生の大先輩として持てたのは本当に幸せでした。


パチンコや競輪、競艇、カジノ、その他の違法賭博など、
世の中には数多くのギャンブルがありますが、
私にとってそれらは、競馬に比べると、ほとんど魅力がありません。

何故か?

競馬にはディック・フランシスがいるけど、他にはいないからです。



※昨日の京都第四レースでの白浜騎手の騎乗を見られたら、
彼は何と言ったかなあ?