桂きん枝は、いつ復活するのだろう?


きん枝民主党もアホや」

桂きん枝民主党から参院選に出馬すると知った際、
当時の幹事長って大阪を分かってないなと思った。
彼の微妙な立ち位置を説明するのは難しい。
けれど、関西の人間なら、分かってもらえると思う。

結果もその通りに出た。落選。

民主党にとって、彼の擁立には何のメリットもなく、
逆に失笑を買っただけ。


が、当人にとってみると、話は逆かも知れない。
アホやと思われたら政党は辛いけど、落語家には力になる。

例えば、枕で、
「人間、後悔することがぎょうさんありますな。
はぁ、なんであんな事したんやろ」
と、間をたっぷりとってつぶやいてみれば、
完璧に受けるに違いないし、客をがっつりと掴める。

また、上方落語には、清八という男が頻繁に登場する。
「清八ぃ? 清八ってどんな字を書くんや。
ふん、きよいに数字の八。
きよいって、きよしとも読めるなぁ。あの人の真似したらアカンで」
なんてのも、クスグリとして通用するのではないか。
同様に、ハゲやタコが登場したら、横山ノックとからませる手もある。

とにかく、あっけなく散った事で、
彼の過去の愛すべき頼りないキャラも守られて、
その上に強力な武器を手に入れた。

実際、兄弟弟子・仲間連中は、早々とネタにしてますから。


さて、いつになったら高座に復帰できるのだろう?

上方落語協会も、吉本も、辞めてるしなあ。
ま、落選の際について、何かしらの事前取り決めはあるのだろう。
悪事を働いた訳ではないから、
不義理さえ清算すれば、すんなりと戻れると思いたい。

選挙ネタが旬である内に復帰できれば、と願うばかり。


昭和の名人・古今亭志ん生は、長らく売れない噺家だったのが、
戦時中から満州へ行って苦労した事で芸に魅力的な輝きが加わり、
戦後、圧倒的な人気者となった。

六代目三遊亭圓生も同様である。

この様に、大きな苦労やピンチを乗り越えることで、
芸人として一段上に登って行った例は数多くある。

桂きん枝にとっても、そんなきっかけになって欲しいものだ。
これまで、テレビタレントとしては及第点だけど、
噺家としてはどこか物足りぬ感のあった彼が、
一回り大きくなって帰ってきたらと思うと、楽しみでならない。