せやったんか、六甲山のイノシシ


六甲山周辺の山を散歩するのが好きで、
この辺の事はいろいろと知っていたつもりだったのだが、
肝心な事を知らなかったと、このほど知りました。

 神戸新聞総合出版センター編「六甲・まや101の大疑問」

この本のお陰です。


イノシシが多くて問題となっている六甲山。
でも、イノシシが発見されるようになったのは新しく、
1970年代以降なのだそうだ。

これには驚き、かつ自分の知識不足に恥じ入った。

江戸時代など、六甲山は、昔から過度に利用されてきたため、
ほとんどが荒れ地となっていて、
大型動物の多くは駆逐されてしまっていたそうだ。

この辺りがほとんどハゲ山であって、
植林などの再生努力によって現在の緑があるのは知ってたが、
大きな動物のいない地域になっていたとは気付きませんでした。

うっそうとした緑が戻って来た頃、
やって来たイノシシに餌付けする人があって、
一気に数が増えてしまったらしい。

私が子供の頃、70年代の終わりか、80年代の初めか、
摩耶山に連れて行ってもらった際にイノシシを見た。
そのせいもあって、
六甲山とイノシシの関係を当たり前のように思っていたのだが、
実は子供のワタシが見たのは「初期」だった訳ですね。


これによって、かねて気になっていた点も明確になった。

六甲山の御近所である箕面の山々は、
餌付けのせいもあってサルだらけである。
でも六甲では見た事が無い。
(検索するといることはいるようだ。これから増えるかも)

また、兵庫県全体では、シカの被害が深刻なのだが、
六甲には生息していない模様。

つまり、六甲山は、イノシシばかりが多くて、
他の大型哺乳類がほとんどいない、アンバランスな山域なのです。

森林は、人間の努力によって、なんとか元に戻ったが、
(人工林なんて本物の自然じゃないとの意見はあるだろうけど)
野生動物の回復にはタイムラグがある、ということなのでしょう。
現在はまだ、その端境期と考えられます。

ただ、六甲山は人間の利用が多い場所なので、
餌付け、ゴミ、住宅開発などの問題があり、
バランスの良い、あるべき自然の姿に戻すのは、
まだまだ大変なのだろうと考えられます。

自然と人間の付き合い方って、つくづく難しい。