鈴木みき「山小屋で会いましょう!」


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とっても楽しく読めたので、ご紹介。

すでに何冊もの登山に関するイラストエッセイ(漫画)があり、
好意的な評価を受けている著者のようです。
私はこの本で、初めて彼女の世界を知りました。

客としてだけでなく、長期で働いた経験から、
山小屋での宿泊の様子や裏側が描かれています。
ノウハウ本であり、エッセイであり。
拙い感じの絵ですけど、意外なほど表現力がありますよ。

具体的にどの部分が良いかを分析して書くのはやめます。
全体の雰囲気がとてもよくって、
清々しく暖かい心にさせてもらいました。


昔から、登山文学ってありましたよね。
私、何度かその関係の本を読もうとしたけれど、
手にはとっても読み続けることが出来ませんでした。
「孤高のナントカ」みたいなやつ。

きっとそれは私自身が本格的な登山はしないし、
高度な内容を読み解く力もないからだと思います。

しかしですね、最近、そんな私でも楽しめる本が増えました。
特に、女性の書いたエッセイ系は面白いのが多いです。
独りよがりや、鼻につく様な気取りが、ほとんど無いのが良いのかな。
本書も、その系統の一つとして読ませてもらいました。

読んで気付くのは、ちゃんと「人間」を描けている、と言う事。
他愛ないエピソードでも、そこがしっかりしているから、
共感するなど、こちらの心も動かされます。

特に、最後のろうあの方のエピソードからは、
心の中で涼やかな風を感じることが出来ました。
この風を受けるだけでも、読んだ価値がありました。

良い本を、ありがとう。
また彼女の別の著作も、読みますぞ。
夏にピッタリ。