The Velvet Underground and Nico




 以下、かなり取り留めのない文章です。


 ルー・リードが亡くなった。
ロック界の巨星堕つ、である。

洋楽好きとしては、
うんちく披露も込めて気の利いた追悼文でも書きたいところだが、
実は恥ずかしながらよく知らないのでありました。

高校生の頃、「ロックの歴史」のような本を何冊も読んだ。
「ロックの名盤○○選」みたいなのも。
熱く詳しく書かれて絶賛されていました。

一方、私はミーハーなので、ヒット曲好きであります。
ヒットチャートを元にして書かれた洋楽本に、
彼らの名前はまず出て来ません。

ってことは、どーせ小難しい作品ばかりなのだろうと、
これまで考えていました。
「ま、勉強のために、『~ニコ』でも聴いておくか」
くらいの感覚でちょっと耳にした程度。


 さて、先日の訃報を受け、
洋楽好きを自認しているくせに、
あまりにも知らなさすぎるのはどうか、と考えました。
遅ればせながらでも、付け焼刃ぐらいは付けておこう、と。

そして、ありきたりですが、
を再び聴いてみました。
彼らのデビューアルバムです。
当時、全くヒットしなかったが、
今では名盤中の名盤と呼ばれているもの。


 三度、四度と聴かせてもらいました。
オルタナティブだとか、パンクだとか、何だとか、
理屈を私は語れません。

ただ、聴いていて、思いもよらぬ感慨が込み上げてきた。

「これは、青春だ!」

メンバーたちの青春がここに詰まっている。
どんな未来が待ち受けているか知らない若者たちの青春が。


 前に書いた通り、最近の私は、
ビルボード誌が認定した2000年代のアルバム100選を、
聴くようにしています。

ベテラン勢の作品はともかく、
ガレージとか、インディとか、オルタナティブとか、実験系とか、
若い連中の特にデビュー作を聴いていると、
やはりそこに彼らの青春を感じます。

どうなるか分からない、たっぷりの未来を信じ、
内面から沸き起こって来る創造力を信じ、
有名になって金持ちになることもちょっと夢に見、
大好きな音楽に全てを託す若さがそこにある。

「何じゃこりゃ」と感じてしまう古い私もいるのだけど、
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドと同じ姿勢で取り組んでいる連中が、
今の時代にも数多くいる。

そう分かっただけで、ちょっと幸せな気分になっています。


 R.I.P.ルー・リード
これまでちゃんと聴かなかった私が愚かでした。