高橋哲雄「スコットランド 歴史を歩く」







2004年の岩波新書

スコットランドそのものにも、
タータン・キルトにも興味が無かった私だが、
読む価値ありました。満足。

大国(イングランドとフランス)の狭間で揺れるスコットランド
その内実は、ロウランドとハイランドで分裂もしている。
経済的にも厳しい。

結局、イングランドとの合邦(1707)により、
国家としてのスコットランド消滅。

そして、そこからこの国の国民意識が再出立し、
数多くの人材を世界中に輩出して行くことになる。
その辺りに焦点を当てて、辿っていくのが本書であります。


明治初年の「殖産興業」の
助っ人軍団である「お傭い外国人」の
主力を占める技術者たちの重要な部分はスコットランド人だった。


せやったんかぁ!

新書版だから手軽に読めるのだが、
読むうちにいろいろと考えてしまって、
時間をかけて堪能させてもらいました。

ある民族や地域の象徴と信じられているものでも、
実は歴史が浅かったり、ほんの一部での伝統でしかなかったり、
その経緯を調べると面白いことが出てくる。

これは、日本でも同様だろう。
大阪の吉本的お笑い文化なんかもそうだよなって、
今朝、上方落語をラジオで聞きながら思った。
大して歴史がある訳でもないのに、
大阪の一体感を醸し出すのに大きな役割を果たしてもいる。


「歴史って不思議だな」と、
改めて本気で思わされた貴重な読書となりました。