10年先を見越した生活



飽きもせず、


からの記事であります。
とりあえず、これで最後にします。




日本には自生しなかったろうウルシの木が、
一万二千六百年前から日本には存在していた。

大陸から、人間が運んできたと考えるしかない。

何故ウルシの木を運んできたのかというと、
育てて樹液を採り、ウルシ製品を作り使うからだろう。

木を育て、利用する文化というのは、
目先だけを考えていては存続できない。

下宅部遺跡の縄文人たちは、
少なくとも10年程度の先を見越した生活を営んでいました。


本書では触れていないが、
縄文時代の平均寿命はかなり短かったと読んだ記憶がある。
その中で、10年先のことを考えて、
ウルシの林を管理していたのだとすると、
個人レベルではなく、世代を越えた家族、共同体レベルで、
意思の継続がなされていたのだろう。

また一年間を通してみても、
きわめて計画性に富んだ生活をしていたと考えるべきです。

いつでも好きな時に、ウルシが採れる訳ではない。
良質なものは盛夏に採れる。
その時期に向けて、準備おさおさ怠りなかったはず。

ってことは・・・

私は民俗学の本を読むのも好きなのだが、
戦前あたりの日本の山村と、縄文時代の村と、
あまり変わらないじゃないかと、改めて思うのです。

民俗学の本を読むと、
自然に関する深い知識に基づいた
長期的視野での利用があって、
現代人の私は感心するばかりだったりします。
それは、縄文時代から連綿と受け継がれてきたらしい。

失われたのは、たかだか戦後くらいから。
人間の一世代程度でしょう。
これって、何とかなるのだろうか?

失われたのは、民俗研究や出版など、
昔ながらの知識や技術を記録する手段も発達した時期と重なる。

完全なるゼロからのスタートでは無いのだし、
必要になったら・・・

まああまり必要になる事態を想像したくは無いが。


とにかく、本書は私にとって星5つでした。☆☆☆☆☆
もっといろいろ書きたいのだが、
そろそろ図書館に返却せねばならぬので、今回で終了。

こういう最新研究成果の本は、5年に一度くらい、
定期的に出版して欲しいもの。