Don Henley "Take A Picture Of This"




あまり話題にはならなかったようだが、
一カ月程前にドン・ヘンリーが新アルバムを出した。
タイトルは、"Cass Country"。
非常にカントリー色の強い内容となってます。

Youtubeにアップされた動画を、
私は何度も何度も拝見しております。

男の嫉妬を歌った"When I Stop Dreaming"


マルティナ・マックブライドと歌った、
過去に別れた二人の恋の再燃"That Old Flame"


"Praying For Rain"は、温暖化関連だろうか。
厳しい旱魃に対して祈るという内容。


幼少時の祖母の家で夜に聴いた鉄道の音と、
大人になって様々なしがらみの中で聴いた鉄道の音。
途中から、「私は」から「君は」に主語が変わる。
自分に言い聞かせているのだろうか?
「君は乗って行かねばならない」が沁みます。


そして、上に掲げた"Take A Picture Of This"

熱い恋をして、
変化もありつつ夫婦になって幸せな家族を築き、
折々に写真を撮って来た。
それが離婚のようなのだが、
男は再び一人になって飛行機で去る。
「この写真も撮っておけよ」
悲哀を感じさせつつ、
新たな出発が歌われている。


振り返れば、
ドン・ヘンリーには「終焉」の名曲が幾つかある。
"Hotel California"では米国の一つの時代の終焉を、
"The End of the Innocence"は
「無邪気でいられる時」の終わり。


私は、このアルバムの全曲を聞いた訳ではない。

また、かつての彼の歌詞に伏在した隠喩が、
ここにもたくさん含まれているとしたら、
私はそれを全くつかめていない。

だから、解釈がずれている可能性はあるが、
前を向き続ける男の、
何かの終わりと再出発がテーマだと、
想像しつつ聴かせてもらっている。

それを彼のルーツの一つである、
カントリー音楽に乗せている所が泣ける。

何かが終わり、また何かが始まる。
その繰り返しの人生の中で、
戻れる場所のある充実をも、
彼は歌っているような気がするのです。