中世への旅



二週間前の連休中から、
日本の中世の森林や植物関連の本を二冊読んだ。
図書館の返却期限を過ぎてしまったので、
慌てて備忘録代わりの記事にしておく。



二冊とも読んでみて、
中世の森林の様子はおぼろげながら分かる程度でした。

境界や利用方法を巡っての争いが起きると、
双方の言い分を含め当地の状況が文書化されて、
残っている場合が幾つかある。
それがあると、ある程度はつかめます。

また、ある荘園から、どんな産物が出されているのか、
その記録からうかがい知る部分もあります。

あとは絵巻物。
視覚的に分かる資料はとても有用。

それから、花粉分析の結果も援用されています。

これらをまとめて中世の森林・特に里山が、
当時どんな状況になっていたのか、
そして人間はどのように係わっていたのか、
分かって来る訳です。
でも地域的な片寄りはあるし、
漠然とした中身になってしまうのは仕方ない。


ただ、想像の範囲内ではあるようです。

森林の本に必ず出てくる「遷移」をある程度理解していて、
戦前くらいまでの森林の状況を知っている人なら、
何となくそれ以前の様子は想像できますから。


元々は豊富な森林資源があったものの、
利用が進むにつれ、
植生が変わったり荒廃したりする森が増えてくる。
争いも増える。

それを教訓として、
利用の規制をかけたり、
植林をしたり、萌芽林を仕立てたり、
といった近代まで続く森林管理が生み出される訳だが、
今回読んだ本ではその記述は多くなかった。
本格的な森林管理の広がりは、
もうちょっと後の時代から、という事だろう。



さて、最後になってしまうが、
今回読んだのは、この二冊。






水野氏の著書は、空間としての里山が主だが、
盛本氏の方は、草や木の植物そのものであったり、
木材などの流通に関しての記述も多い。

どちらも、私個人としては興味深く読んだが、
他人にお勧めするかと問われると、躊躇します。
歴史の記述は読みにくい場合が多いし、
正直内容が散漫な気がするし、
議論の方向性も分かりにくかったりします。

どちらも星3つ。☆☆☆