バート・ヘルドブラー他「ハキリアリ」







本書は2012年に翻訳出版されたものだし、
検索をすると、
ハキリアリについてはTVドキュメント等があったようだ。

だから、「ハキリアリが面白い」ってのは、
既に周知の事実なのかもしれないが、
TVを見てない私にとっては、
新鮮な知的興奮に満ちた一冊でした。

場面場面を的確に捉える写真が豊富にあり、
文章・翻訳は明確でムダがないし、
もったいぶらずに話題が進んで行く全体の構成、
読み手としてはこの凝縮感が嬉しく有り難いです。

内容は、著者らが自ら観察・実験を行ったのではなく、
さまざまな研究グループが長期にわたって明らかにしてきた物事を、
整理して、噛み砕いて、私たちに教えてくれています。

数多くの研究者たちが、
この巨大な謎に満ちたアリのコロニーについて、
工夫して、競いながら、明らかにしていく過程は、
これもある意味「超個体」なのでは、と思ったりして。


で、細かい内容について、ここで取り上げはしません。

でも一つだけ、一番驚いたのは、
働きアリの中で年齢による分業がある、ってこと。

危険な仕事に率先してあたる年上のアリたち。
文明のあり方として、どうしても人間と比較してしまいます。

個より、全体を優先すると、
どうしてもそうするしかないんですねえ。