古い靴地面の色に近くなり




◎「古い靴 地面の色に 近くなり」



普段、近所の山歩きで使っている二足の靴が、
どちらもずいぶんとすり減って買い替え時期に来た。
ウォーキングシューズと、普通のスニーカーである。

裏が平らになり、グリップが効きづらく、
滑りやすくなっておるのです。

ただ・・・
貧乏くさいことを言うようだが、
底の薄くなった靴で山道を歩くと、
地面の感触が足裏に伝わって来て面白いという一面もある。

石がゴロゴロしている道、
ふかふかの落葉の絨毯、
その落葉も針葉樹と広葉樹では異なるし、
例えば今夏の雨が降らずにカラカラだった道と、
ひと雨降って湿り気を帯びた道と、
足の裏が敏感にいろんな情報を脳に届けてくれる。


山歩きとなると、六甲山程度でも、
分厚い革で守られた登山靴を履く人が多い。
きっとそれが常識なのだろう。

しかし、私の場合、十年以上歩いているが、
山でねん挫をしたことは一度も無いし、
足先を痛めたことが一回あるだけ。

登山靴だったら、こんなケガはしなかったのに、
という状況は非常に稀なのであります。
裏山登山程度なら。

そんな千に一回、万に一回の怪我を防ぐために、
重くて、足の裏の感覚をかなり殺してしまう登山靴は、
履く必要は無かろうと思っている。

ヒドイねん挫をしたところで、
片足で這って行ったら、
阪急バスのバス停に辿り着ける圏内を歩くのだし。

登山靴越しに土を感じるだけで、
「自然と一体になった!」とか言われへんやん。
ま、私は普段から、そんな事を言うつもりはないけど。


理想は、裸足である。
縄文人は裸足だったのかな?
憧れます。

しかし、私の足裏は現代人らしく、やわい。
あっと言う間に怪我して、バイキンが入って、
ヒドイ目にあうだろう。


じゃあ、江戸時代の人を倣ってワラジは?

でも、宝塚市の山に入る場合、
中腹までは住宅街だから、
結構な距離のアスファルト道を歩かねばならない。
あっと言う間に、擦り切れてしまうだろう。

それに、草鞋だと、相当慣れた人でも、
足先を痛める場合が多かったと本で読みました。


そう考えると、私にとっての理想の山歩き靴は、
底がかなりすり減って、
そろそろ買い換えなきゃなと思う一歩手前の状態のもの、
という事になります。

つまり、今、使っている二足の先月くらいの状態。

そんなのが売ってたら、いいんだけどな。