白帆




柳田国男「故郷七十年」の中で、
一番心をひかれたのは「利根川の白帆」という節。

兵庫県から、利根川沿いに移った国男少年は、
そこで白帆の川船に驚き、
風に興味を持つようになり、
果てには日本人の起源に思いをはせるようになっていく。


私はこの辺りの文章に大変心打たれたのであるが、
記憶の底を探しても、
白帆の川船どころか海船も見たことは無い。

そもそも、私が見て知っている川は、
ダムだらけになって以降であるから、
本当の川というものを知らないと言って良い。
少なくとも、日本では。

それでも、この文章に感動してしまうのは、
何かしら遺伝子の中の記憶がうずくからなのか。
何故だかそう思いたい自分がいます。


ネット上で、利根川の川船の古写真を探してみました。


この他にも、個人のサイトに数枚見付けました。

見ている当方に、時間を忘れさせる力が、
これらの白帆にはあります。

我が近所の武庫川にも、
こんな写真が残ってたら良いのですけど。