星新一著「ご依頼の件」

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自分の読書歴を振り返ってみるに、
忘れがち、かつ軽視しがちではあるけど、
星新一の存在は大きいのです。
中学から高校にかけて、自ら進んで読んだのは、
ほぼ彼と山本周五郎の短編だけでしたから。

最近でも、年に一回くらいでしょうか、
図書館で見かけたら借りて読むことがあります。

改めて感じたのですが、
彼の著作は私にとって人間や社会の教科書だったのかも知れません。
人間の本質についてとか、世の中の仕組みであるとか、
とても鋭い洞察や知識が詰め込まれています。
もちろん、下らぬ内容もありますけど。

今になると分かるのですが、
奇抜なアイディアは、確固たる人間・社会観に基づいていないと、
生きてこないんですね。

さて、小学生の頃は、
両親や学校の先生など大人に従順にしてた子供も、
中学生以上になると、いろいろと自分で考え始めます。

 大人になるって何?
 人生って何?
 社会って何?
 人間関係って何?
 日本とはどういう国でどうなって行くの?
 世界・地球はどういう所でどうなって行くの?
 宇宙ってどうなっているの?
 ・・・

もちろん、こんな明確な言葉で考えたわけではなく、
漠然と足らぬ頭と知識で想像していたのです。
大人が言っていることや、学校の教科書で教えられていることは、
完全ではなさそうで、もっと別の解釈の世界がありそうだと。

そんな疑問に小さなヒントをくれたり、
また新しい疑問を提示してくれたのが、
星新一の作品群だったのだなあ、そう思うのです。
圧倒的な分かりやすさと量でね。

ちなみに、上の疑問群には一つ大きな欠落があります。

 異性って何?

私は男だから、「女とは」です。
星新一は、この点にほとんど触れません。

当時の私が、彼と山本周五郎しか読まなかったとは、
無意識のうちに補完をしていたのかなあ。
ただ、かなり誤った女性観を叩き込まれたような気もします。
エロ本と、ラジオの深夜放送で矯正はしてたつもりですが・・・


                   続けます