真夜中の神社の利益星の空

◎川柳「真夜中の 神社の利益 星の空」





イライラ、トゲトゲして、どうにも眠れない夜があります。

そんな時、近所の神社に行くことがあります。
夜はとても寂しいですが、
神聖な雰囲気が溢れていて好きなのです。

京都にいた頃は、すぐお隣に神社があったので、
気が向いたらいつでも境内に入ってました。
当時からの習慣です。

ただ、一つ違いがある。

京都のその神社にはセンサーがあり、
神殿に近づくと、パッと白熱灯がつきました。
防犯用ライトみたいで世知辛い気はしたけど、
賽銭を間違わずに入れることが出来る長所がありました。

それが、現在の地元の神社は、
参道に街灯はあるものの、神殿は暗いまま。
賽銭箱を前にして、手探りで小銭を探ります。
十円玉だか、百円玉だか分からず不安なので、
ここも明かりがほしいなあと文句を言いつつ参拝するのです。

で、先日、また眠れない夜があって、行ってまいりました。

こういう時の私は、意識的にかなり具体的な願掛けをします。
露骨に「金をくれ!」とかね。

この時もしぶとくて厚かましい願いをしました。

そして振り返って、ふと上を見ると、
明かりがない分、とっても見事な星空が広がっていたのです。
思わず見とれてしまい、しばしぼう然としてました。

しばらくして、もう一度振り返って、神様に手を合わせました。


「神様、きれいな星空を見せてくれて有難うございます。
ところで、今回のお参りのご利益はこの星空なんですか?」

「その通り。たった一円の賽銭では、この程度だ」

「あれっ、一円玉でしたか? 
暗かったもので・・・。百円玉のつもりだったのに」

「白々しい。最初から一円のつもりだったくせに」

「あのう、改めて百円玉を入れるので、もっと別のご利益を下さいな」

「ダメだ。どっちにしろ今のお前に本当に必要なのは星空だ。
さあ気が済むまで見たら、早く帰って屁ェでもこいて寝ろ」


てな訳で、帰って素直に寝ました。
平和な睡魔がやって来てくれました。