憧れ


私はタイガースのファンである。
地元ですからね。

あの暗黒の90年代は本当に辛かった。
弱くて、勝てなかったのも辛かったけれど、
贔屓にしたい選手がほとんどいなかったのがもっと辛かった。

「どこのファン?」「タイガースです」
「誰が好きなの?」「・・・・・」

和田、湯舟、新庄、亀山、仲田などなど、
いい選手も複数いたのは確かだけど、
他球団のファンに自慢できる程ではなかった。

ゴジラ松井を自慢できるジャイアンツファンの羨ましかったこと・・・

今、ベイスターズは弱いけれど、
三浦や内川、村田といった選手たちは他に誇る事が出来る。
当時のタイガースには、その救いもなかったのだ。

あの閉塞状況を変えてくれたのが赤星だった。
生え抜きの選手であり、新人王も取り、盗塁王を取り続け、
他球団が嫌がる実にいい一番バッター(二番も多かったけど)となった。
彼なら、自信を持って自慢できる。
タイガースファンとして、実に嬉しい存在だったのです。

そして何と言っても彼の功績で一番大きいのは、
「赤星みたいになりたい」と野球を始めたチビッ子が多い事だ。
関西には、本当に多いんですよ。

プロのスポーツ選手の真価はここにあるのだと思う。

イチローのようになりたい、松井秀喜が好きだ、松坂だ、野茂だ、
ダルビッシュだ、藤川だ、金本だ、清原だ・・・

そんな彼らに憧れる少年たちが数多くいればいるほど、
今の野球界も盛り上がるのだし、明るい将来への展望も拓ける。


ところで、
昨日引退された元大関と、その周囲はどう思っているのだろう?
相撲界の将来について、である。

素人の私は、横綱とか大関というのは、
何よりも「憧れられる存在」でなくてはならぬ、と思っている。

千代大海みたいになりたい」と思う子供はどれだけいたのだろう?
厳しい事を書いてしまうが、
「ああはなりたくない」と思う子の方が多かったのではないか。
いや、彼にだって輝いていた時期はあった。
その頃に彼に憧れた子供たちは、成長して今、どう思っているのかな。

出島ファンの方が幸せだったよ。
あれはあれで納得できたもん。
「出る出る出島!」

ただでさえ相撲人気は低迷して、目指す子供たちは減っている。
今のままでは、「太っているから、相撲界にでも入るしかない」、
という消去法的な理由で入門する人ばかりになってしまいそうだ。日本人では。
そんな連中が、まともに稽古に励むとは思えないから、
ますます人気が落ち込む恐れが強い。

「自分の相撲を少年たちに誇れない」と思ったら、
速やかに地位を降りるか、引退するか、して欲しいものだ。
大関ならば。

おいっ! 琴光喜!! テメーの事を言ってるんだゾ!!!


  不調が目立つのが琴光喜で、
  肩を痛めている栃ノ心に力なく寄り切られた。
  初日から4連敗で
  「駄目ですね。当たってすぐに止まってしまった」と伏し目がちだった。

  夕刊フジのサイトより
  http://www.zakzak.co.jp/sports/sumo_combat/news/20100114/smc1001141233000-n2.htm


どこか悪いのなら、休場しろ。
出続けるのなら、そんな目をしないでくれ。
ワタシは君の相撲が好きなんだ。
切ないじゃないか!


◎川柳「どうせまた ほらやっぱりと 土が付く」