子供の記憶

独り者なので、子供ってのはよく分からない。


随分前のことだが、親戚の子と遊びに出掛けた。

が、私の計画は甘かった。
問題は昼食で、最初はファミレスや食堂を見つけて済ませようと、
おぼろげに考えていました。

でも、私が昼食予定地と想定していた駅に降り立つと、
想定外の田舎町であって、何もない。
ちゃんとした観光地だと思ってたのだが、違ったようだ。

取り敢えず観光を済ませて、次の目的地へと向かったのだが、
もう一つの誤算があって、時間が足りないのに気が付いた。
彼を家へ送り届ける時刻は決まっているのである。
ゆっくりと食べている余裕はなくなった。

仕方なく、乗換駅での駅内コンビニでサンドイッチを買い、
待合室でコソコソと済ませました。
ペットボトルのお茶を飲みながら。

私としては、ちゃんとした昼食をあげることが出来ず、
シマッタ、悪い事をしたな、と思っていた。

ところが、なのです。
後々に伝え聞いたところによると、
どうもあの子は待合室でのサンドイッチを面白がって記憶しているらしい。

うーん。

そう言えば、私自身の子供時分の記憶も、そんなところがある。
いろんな有名観光地へ連れて行ってもらったけど多くは忘れた。
むしろ、自転車の三人乗りで警官に注意されたとか、
駅のトイレが衝撃的に汚かったとか、
バス停を間違って降りそうになったとか、
そんな事ばかり憶えている。

大人って、慌てたりする時に素が出ますからね。
そっちの方が観光よりよっぽど面白い。