日高敏隆「セミたちと温暖化」

イメージ 1

昨年亡くなられたこの先生のエッセイは、
高い評価が確立されているように、どれもとっても面白いです。

この本も、ボウフラを混乱させる実験とか、
バタフライガーデンを作り軌道に乗せる苦労とか、
意表を突かれたり、大納得したり、大変満足して読了しました。


このブログでどれか一篇を取り上げるとしたら、
やはり「牛と馬」でしょう。

競馬好きなのに、
牛と馬の違いなんて深く考えた事もなかったから、
目から鱗が落ちました。

牛も馬も、同じように栄養価が低く消化もしにくい草を食べる。
栄養価が低いから、たくさん食べねばならない。
そのために牛も馬も大きな動物になってしまった。
ここが両者の共通点。

牛は、消化しにくい草を反芻によって何とか消化する。
愛しのお馬さんの方は、長い腸で草を消化するらしいのだが、
消化しきれないかすを反芻はせず、そのまま糞として捨ててしまう。
そこに大きな違いがある。
だから、牛の糞はどろどろなのに対し、
馬のはいわゆるモコッとした馬糞になる。

海外旅行の際、
一つの都市に居座って徹底的に観光するタイプと、
とにかく手早くいろんな町や国を飛び回るタイプと、
その違いみたいなものかなあ。
ちょっと違う?


もう一つの違いの方が競馬好きとしては面白い。

このような草食動物は肉食動物に狙われやすいのだが、
身を守るために、馬はとにかく逃げる。
だから眼が良いし、俊敏に走れる体を持っている。
一方の牛は、逃げるのではなく、踏みとどまって闘う。
そのために角を発達させた、のだと。

ナルホド、ナルホド。

馬が走って逃げるのは知っていたけど、牛は闘うんですね。
そこが競馬に繋がり、闘牛にも繋がる訳だ。

人間ってのは、動物の本能を利用して、遊ぶ生き物なんだなあ。