襲われてみたい現金輸送車に

◎川柳「襲われて みたい現金 輸送車に」



バブルの頃。

自転車に乗る友人に会ったら、雰囲気がいつもと違う。
でもどこが違うのか、分からない。
聞くと、自転車が新しくなっていると言う。

何でも、交差点で事故に遭ったのだそうだ。
幸い怪我は全く無く、自転車がゆがんだだけ。
運転手が慌てて降りてきて、そのまま自転車屋に直行し、
ほぼ同じ自転車を買ってくれ、プラス数万円を貰ったのだと。

それを聞いた私らは、

「惜しかったなあ。
ベンツと当たっとったら、自転車が原付に化けたのに」

と、ヨタ話をしたものである。

あの当時、高級車とぶつかって得をした、との話題は数多くあった。
VIP病室に入り、高級寿司の出前が、とか。
都市伝説みたいなものですけど。

これらヨタ話の行きつく先は、
現金輸送車とぶつかると、手づかみで札束を貰えるらしい、
というオチです。
嘘まる分かりですが、妙なロマンを感じてしまうのは何故だろう?

今、高級車とぶつかっても、そうそう良い思いは出来ないと思う。
でも現金輸送車なら、当時と条件は変わらないのでは・・・
現金輸送車が襲われたとのニュースを聞くたびに、
あれは襲う物ではなく、襲ってもらう物ではないか、
と思ってしまうのは私だけ?