今年の一冊(かとうちあき著「野宿入門」)

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今年はあまり本を読まなかった。
数少ない中で、最大の収穫がこの本でした。

かとうちあき著「野宿入門:ちょっと自由になる生き方」

私は野宿はしないし、するつもりもない。
それでも面白かった。

実際、本書は野宿うんぬんを語りつつ、
価値観そのものを語っているのだと思いながら読むのがいい。
入門書というよりは、エッセイです。
しかもかなり良質の。

著者は30歳くらいの女性だが、
野宿をしながら、たっぷりと時間を使って、
自分の頭で、自分の力で、きっと地球の鼓動を感じつつ、
いろんな事を考えているのだろう。

世の中を見渡すと、自分の力で物を考えている人間は非常に少ない。
だって物凄く大変な作業だから。
しかし彼女はそれを自然にやっている。
「深く」でもなく、「広く」でもなく、手の届く範囲で。
虚勢もはらず、自分を貶め過ぎることもなく、等身大で。

うーーーん、こんな人がいるってのは、日本も捨てたもんじゃない。


特に最後の母親との野宿のエピソードが良かった。
むき出しの二人の人間がそこにいる。
どちらも女性で、母と娘である。

「あなたの背中に羽が見えたのよう!」

この一言を読めただけで、今年も読書して良かったと感じました。
ありがとう!