宿屋仇・古典落語ノート③(兵庫散歩)


江戸落語として演じられる場合は、江戸っ子三人が宿屋で騒ぐのですが、
上方では兵庫の若い衆が伊勢参りを終えて、という設定です。
場所は大阪日本橋

先に記事にした「兵庫船」「明石飛脚」は、場所としての兵庫ですが、
ここでは兵庫の人間が登場します。
かなり喧しい連中なのですが、それが兵庫の気風だったのか、
単に噺の設定でそうなっているだけなのか、どっちなのでしょう。

下のリンク先から引用します。

酒・肴用意してんか。
言ぅとくで、兵庫には灘ちゅうて日本一の酒どころがあんねんで、
おかしな酒もって来やがったら承知せんねんで。

それから肴、これも言ぅとくで、
明石の浦の一夜(いっちゃ)活け、年中活きた鯛食ぅてねんよってね、
おかしな肴もって来やがったら承知せん、と言ぃたいけど、
兵庫に比べると大阪はどぉしても魚は落ちる。
そこは庖丁、腕の方で食わしてもらお。


食文化において「大坂<兵庫」という図式があったんですかねえ。
兵庫自慢が垣間見えて、個人的にはとても面白いです。
あと、妙に財力があるのにも気が付きます。
もちろん単に伊勢講のお金が余っただけなのかも知れませんが、
雰囲気的には自分たちで稼いだ金のような気がします。
それだけ兵庫で働くのは割が良かったのかも。