旧友と気付く遅さが照れくさい

◎「旧友と 気付く遅さが 照れくさい」


小学生の頃、「十五少年漂流記」を読んだ。
夢中になって読んだ記憶がある。

しかし今、内容を覚えているかというと・・・
子供が大凧に乗って空を飛ぶ挿絵はよく覚えているんだが、
という程度である。


さて先週、同じジュール・ヴェルヌ作「八十日間世界一周」を読んだ。
新訳なので、とても読みやすかったし、面白かった。

上下巻の文庫本の下巻、つまり後半部分を読んでいると、
汽車が渡った直後に橋が落下するシーンの挿絵があった。

・・・なんだか、見たことあるような気がするぞ!?

どうやら完全に忘れていたが、
「八十日間」も子供の頃に読んでいたらしい。
子供用に書き直されたのを、手あたり次第読んでいた時期があったから。

しかし文章や内容は完全に忘れているのに、
挿絵だけ記憶の底に残っているってのは不思議だ。


そして、もう一つ思うことがある。

「あっ、これ読んだことある!」

と思い出すのが、読み始めて最初の数ページなら良いのだが、
物語の終わりに近づいてから思い出すのは、妙に悔しい。

でもまあ、すぐ最初に気づいていたら、
最後まで読み通しはしなかったろう。
あそこで気づいたのは、神様の意図なのだと思うことにする。


もしかして、今回読んだのも忘れ、
また30年後くらいに、再び「八十日間」を手にして、
「おや!?」と思ったりして・・・