高橋秀実「弱くても勝てます:開成高校野球部のセオリー」





最近の読書は、これ。

私は図書館でたまたま手にしたのですが、
検索すると、アマゾンなど、数多くのレビューがなされています。
結構評判になった本らしいですね。

ですから、内容の紹介はしません。
タイトル通りの中身の部分も最初はありますが、
途中から雰囲気が変わり、私にはそこからが更に面白かった。

スポーツって、一般的に、
頭より先に身体が動くタイプの人が得意とするものなのでしょう。

その中でも、野球では例えば古田敦也とか、野村克也とか、
桑田真澄のように頭も使える人が、
選手として実績を残したり、指導者・解説者として花開いたりする。

ところが、この開成高校の部員さんたちは、
身体よりも頭を使う方に秀でていて、
頭の働きが身体の足かせにすらなっている感じです。

そんな部員たちが、著者と交わす不思議会話は、一読の価値あり。
噛みしめつつ再読の価値もありそう。


「素振りはやっているんですが、球は前から来るもんですから」


微笑ましいというか、頼もしいというか、
彼らの将来と日本の未来はどうなるんだろ、って考えたり。

語る野球部員も、聞く著者も、読む我々も、
誰も明快な答えを得られないという怖ろしい読書なのだが、
だからこそ読んでいて引き込まれてしまう。


ま、モヤモヤする部分がありつつも、
好感度を持って読み進められるのは、
監督が野球は「偉大なるムダ」と宣言しているから。

部員の多くは東大に進み、
日本を背負ってたつ立場になっていく。
そんな高校生が、ムダな事に取り組んでいるってだけで、
爽快な気分になれるってもんです。

しっかし、
下手だけど頭の良い部員たちを率いる監督さんの、
最大の作戦は「ドサクサ」ってのは、なんとも可笑しい。。。