網野善彦「海の国の中世」






個人的な感想は、星3つ。
しかし、他人にお勧めするという意味では星はゼロ。
福井県若狭地方の「小浜市史」のために書かれた文章で、
楽しく読めるものではない。

市史やら、町史やら、村史やら、
面白く仕様の無い物でありますから。

ただ、私は網野先生のファンであるし、
粘り強く我慢しつつ最後まで読みました。

そうすると、所々、キラッと光る部分が見つかるし、
鎌倉時代の一人間の苦悩が切と感じられる部分もあるし、
読んで本当に良かったと感じました。
わざわざ文庫本サイズで発売した意図も、そこにあるのでしょう。

特に、あとがき前の数ページは面白い。
読んできた苦労が全て報われる。
書類や文章の変化、経営実務能力の社会の基底部にまでの波及、
差別の発生、女性の社会的地位について、
などは私にとって珠玉の知見でありました。

久しぶりに、彼の著作を集中的に読みたくなってきました。


総合的に見て、星2つ☆☆