「アホちゃうか」を捨てる(最近の歴史読書)





それから高槻市茨木市の三島古墳群など、
いろんな古墳(前方後円墳)を訪れる機会がありました。

でもただ眺めるだけでは古墳って詰まらないし、
何かしら知識も頭に入れておこうと、
まず手にした本がこれでありました。
古墳に関する一般的かつ総合的な知識が得られたらいいな、と。

私からすると、ほぼ初めて読んだ前方後円墳の本ですから、
ここで開陳されている見解などが、
妥当なのかどうか、どれほど斬新なのか、
判断する力量・知識量は全くありません。
とりあえず、いちいち鵜呑みにしつつ読みました。


この本を読むまでの私の単純な感想は、「アホちゃうか?」でした。

大仙古墳(仁徳陵)や誉田山古墳(応神陵)を見ると、
巨大さに呆れてしまいます。

例えば、徳川家康源義経が歴史に残した足跡については、
共感にせよ、反感にせよ、
何かしら同じ人間として私の心も動きます。

しかし、巨大古墳を作った人については、
文献が残っていないせいもあるけれど、
心が通いそうな気がしません。

自分の心の中を細部まで点検しても、
あんな物を作りたいとか、あんな場所に死語の世界を求めたいとか、
そんな思いが微塵も見つからないような気がする。

だから、全くの別人種、宇宙人のような存在が、
勝手に作った物だと思っていたし、
思うようにして自分を納得させ、見ぬふりをしてきました。


でも本書を読んだことで、自分のその部分に変化がありました。
どうやら、アホが作った訳ではないぞ、と。

当時の国際・国内事情や、霊魂観の中で、
合理性があったからこそ、
北海道と沖縄を除くほぼ日本全体で、数世紀にわたり、
作り続けられた。

作った後に何かしら効果があったからこそ、
次の巨大古墳を作ろうという意欲が湧き続けた。

その霊魂観や満足が何だったのかは、
本書を読んでも私の中ではぼんやりしているが、
分からないからと「アホ」で終わらすのには、惜しすぎる。

せっかく関西に住んで、大阪や奈良の古墳を簡単に目に出来るのだし、
分かろうという考えは常に維持したいものです。


そんな意味で、私にとっては本書は星五つですが、
他の古墳関連本を読んだことが無いし、
比較して何かを論じるのが不可能だから、
今の時点では評価不能・先送り、ということで。



その他、最近読んだ歴史関連本を簡略に羅列。




幕末の開国後、欧米に派遣された侍たちの日記などから、
彼らが向こうの食事をどう感じたのか、が書かれている。
とても面白い着眼点で、文章も読みやすい。

最初のアメリカに派遣された方々の抵抗感が最も強く、
ヨーロッパに行った人達は徐々に慣れていく。
なるほどなあって感心しました。

日本人が一番好んだ洋酒がシャンパンってのが、
不思議でもあり面白くもあり。

星4つ。☆☆☆☆





江戸時代というと割合近い過去なので、
「発掘」のイメージが薄いのだけど、
本書は1980年代から盛んになってきた江戸の発掘調査から、
その成果などを分かりやすく解説してくれている。

星4つ。☆☆☆☆





自転車での通勤者(ツーキニスト)として多くの著書を持つ著者が、
自転車雑誌に歴史の旅の連載をしたもの。

独特とは言わないけれど、
ご自身の歴史観がしっかりしていて、
その上での知見あり、見解ありで、なかなか読ませます。
訪れる場所の選択も、なかなかいい感じ。

読み応えはあるのだが、
自転車と歴史の旅の関連がそれ程強くないので、
星は3つ。☆☆☆