松木武彦「人はなぜ戦うのか」

 
 
 
副題は「考古学からみた戦争」
 
 
古墳についての本を読むようになり、
この著者を知り、本書にたどり着きました。
 
文句なしに星5つであります。☆☆☆☆☆
面白かった。
 
 
特に、第四章「倭軍の誕生」には、唸らされました。
 
日本列島の四~五世紀の軍事体制は、
防衛に対する関心の低さと、
状況に応じて武装や戦術を改良していく柔軟性の欠如とを、
大きな特質としていたようだ。
 
 
考古学って、単に土を掘り返すばかりの地味な学問と思ってましたが、
こんな知見を生み出せるとは感心しきりであります。
 
上記の引用文では抽象的で分かりにくいだろうけど、
本書は、日本人にとっての戦争とは、という点で、
古墳時代から現代までの共通性を示唆してくれます。
 
これまで私は、巨大前方後円墳を作るような連中はアホで、
現代の自分とはかけ離れた存在と思っていましたが、
同じ欠点を持つ思考法を共有していたとすると、
不思議な共感を憶えます。
 
二読、三読と、
内容が頭に染み入るまで読み返したくなる一冊でした。
お見事。