「銀の匙 Silver Spoon 第13巻」とばんえい競馬のこと






 不定期連載になり、12巻から間隔が開いたが、
ようやく13巻が出されました。

どうも次の14巻で完結しそうな雰囲気だし、
前12巻と共に、クライマックスへの助走といった感じ。

将来を決めかねて悩む主人公の八軒が、
方向性を見出して走りだした11巻の時点で、
つまり彼らが高校一年生を終えた時に、
この物語の存在意義はほぼ果たされたと、私は思っている。

残りは付け足しとは言わないが、
特に大きな事件や新展開がある訳ではないので、
ドキドキ・ハラハラはありません。
安心して、ストーリーが回収されるのを追うのみ。

この巻だけに星を付けるなら、四つかな。☆☆☆☆


 競馬ファンとして、
物語の進行上で不安を感じていたのは、
ばんえい競馬の行く末でした。

帯広のばんえいが廃止されてしまったら、
結末もしっちゃかめっちゃかになりそうで。
数年前までは、その恐れが十分にありました。

でも昨年度は、売上回復!

他の地方競馬が、地方IPATで生き返ったのとは異なる。
そして、今年度からのワイド馬券などの導入は、
地方IPATを視野に入れた変化とも噂されている。
つまり、近々に、まだ更に状況改善の余地がある。

先行き明るいと手放しで楽観できる訳ではないが、
暗黒一色の未来でなくなったのは確か。
連載完結までは、大丈夫だろう。


 ただ、一つ心配なのは、入場者数のこと。

ばんえい競馬の売り上げ回復は、
一にも二にもネット販売が好調だったから。

次巻のクライマックスの一つは、
競馬場でのピザ販売になるらしいが、
実際のところ、美味しい物を求める人が行く場なのかな?

まあ門別競馬などとは異なり、
観光客も期待できるばんえい競馬だから、
場内に魅力ある店舗が充実すれば、
入場者数の回復もあり得ると前向きに捉えましょう。


 いずれにしても、
ばんえい競馬にとっても、
物語の登場人物たちにとっても、
気持ち良いクライマックスになってくれそうだ。
それが、非現実的でなさそうなのが有り難い。

次巻がいつ出版になるか知らないが、
穏やかな気持ちで待つことにします。

まさかのどんでん返しは・・・ないよなあ・・?