身近な生き物に関する読書二冊






前回紹介した「裏山の奇人」の小松貴氏らが作成した、
好蟻性生物の図鑑。

図鑑ではあるが、標本の写真ばかりではない。
「どうやって撮ったんだ?」と不思議で仕方ない、
一瞬を切り取った写真のオンパレードである。

私は、虫好きとは言えないし、昆虫少年であった事もなく、
本図鑑の素晴らしさを半分も堪能出来てないのが残念です。
「あ! 見たことある!!」ってのは皆無。
「今度、本気になって探してみようかな」も・・・

ただ、感銘を受けた小松氏の著作の世界を、
実感を持って理解できるようになった気はするし、
眺めた価値はありましたよ。
幾つかあるコラムも面白かった。

Amazonのレビューを見ると、皆、大絶賛である。
昆虫に詳しい方々が星5つの評価しているのに、
私が評価を落とす理由は一つも無い。
星5つ。☆☆☆☆☆






9年間にも渡る奈良でのムササビの生態観察記録。
暖かい目で、粘り強く対象を追いかけた、見事な研究です。

私、ムササビは一度確認したことがあります。
京都の法然院近くで。
「たぶんムササビじゃないかな」ってのなら、さらに何回か。
本書を読んで、「あの時聞いたのは、ムササビの声だったのかも」
というのも数回ありました。

身近ながら、生態を全く知らなかった生物ですので、
興味深く読み進める事が出来ました。


気になったのは、今年出版された本なのに、
調査された時期が古いこと。
1970年代や、80年代が中心です。
20年前に出版されているべき内容だと、私は思います。

もちろん、ムササビの生態が変わった訳ではないし、
研究結果としての価値が落ちるとは全く思いません。

でも、20年以上の時を経て、
調査地の自然も随分と変わったようだし、
現状がどうなっているかの追跡はして欲しかったかな。

調査が大変な労力であるのは承知してますが、
経年的な変化を把握するのも、意義があると思うんですよね。


ま、ムササビの生態を知りたい人間にとっては、
非常に有用な一冊であるのに間違いない。
星4つ。☆☆☆☆