千松信也「けもの道の歩き方」







非常にためになる本でした!

ただ、私は知らなかったのだが、
この著者は以前に文庫本化までされた本を書いていて、
本書はその延長線上で読まれているらしい。

前作と合わせて、どんな魅力があるのか知らないけど、
本作だけでも読み応えがあったし、
とても勉強になりましたよ。


京都市内に住み、罠を使った猟をされている著者。
しかし、販売のためではなく、
自分たちで食べる分を獲っておられます。

本書は、そんな著者が見た、
日本の自然の現状を中心に書かれています。

私がこう書くと、いわゆる上から目線で不遜でしょうが、
とてもよく勉強もされておられます。

その勉強されている内容が、
ご自身の体験や、先輩の猟師さん達からの伝授と合わさって、
「実感」に裏打ちされた自然論になっている。

野生生物に関する自然保護に興味がある方は、
是非読むべき一冊だと思いました。
第三章「狩猟採集生活の今とこれから」は、特に。


そして、本書の最後なのですが、
「色づいた柿」というタイトルの
日常雑記っぽいエッセイで締められています。

短い文章なれど、これが素晴らしい。

珠玉の文学の香りを私は感じました。

かつて、高度経済成長期の日本の林業について、
その現場の雰囲気を知りたくて、
宇江敏勝氏の文章を読みあさった事があるのですが、
似た様な感慨を覚えました。

論じさせても素晴らしい著者ですが、
今の時代を書き残す役割も持っておられるのではないかな?


久々に、とても嬉しい読書となりました。
感謝!