十三日富札の出るはづかしさ

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柳多留より「十三日 富札の出る はづかしさ」
(やなぎだるより「じゅうさにち とみふだのでる・・」






私の川柳好きは、落語から始まってます。
落語にはよく川柳が出てきますからね。

そこから、いろいろ古川柳の本を読み、その世界に魅了されました。

この「柳多留名句選」もその一冊。

最近、自分が作る川柳が堕落しているのではと思うようになり、
原点に戻ってみようと、改めてパラパラと捲ってみました。

そこで目に付いたのが、上の句。

「十三日」とは、もちろん西洋の「十三日の金曜日」ではなく、
日本の十二月十三日(つまり昨日)のことで、
昔は、この日に煤掃きをやったのだそうです。
大掃除の日のようなもんですね。

そんな十三日に、古い富札が出てきてしまったという句。

「お前、こんな物を買っていたのか? バカだなあ」
なんて言われたんでしょう。

落語によると、富札は一枚一分(一両の四分の一)です。
一両は現代の十万円くらいと大雑把に言われますから、
富札は一枚が2万5千円ほどもする高価な物だった訳です。
けっこう思い切った買物だったのですね。


私も引き出しの整理をすると、
古い宝くじとか、競馬のマークカードとか、そんなのが出てきます。
江戸の昔に、自分の同類がいたのだと思いを馳せるだけで、
なんだか嬉しい気分になるもんです。


そうそう、改めてこの本を読んで、一つ発見しました。
落語界では、登場人物の富くじ的中率は100%です。

でも一方の川柳界では0%!!

確かに、千両的中なんて川柳にならないもんな。

私も、宝くじで億越えを的中させたりすると、
川柳を作れない人間になってしまうかも。
どっちがいいだろう?





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さて、今日14日は、討ち入りの日です。


柳多留「あくる日は 夜討と知らず 煤をとり」

同上「さっぱりと 掃除をさせて 首を取」


大掃除の翌日に討ち入りというのは、
江戸の川柳人の興をかきたてるものがあったのでしょう。