熊谷さとし等著「コウモリ観察ブック」

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とっても面白く、読めて幸せでした。

正確には、熊谷さとし・三笠暁子・大沢夕志・大沢啓子の共著。
副題で「ニッポン里山探検隊シリーズ2」

コウモリと、
その生息環境に対する愛情と好奇心がたっぷり詰まった一冊。
生物に興味がある方には、必読かも。

この前に読んだ、今泉忠明著「動物の狩りの百科」は、
獲物をどう見つけて、どう捕獲するか、
ライオンや虎から、ペンギン、食虫植物まで、
多くの生き物の様子を横断的に紹介してくれていました。
幾つもの事例を羅列することで、
生物の不思議な多様さが浮かび上がる効果がありました。

逆に、本書はコウモリ一辺倒です。
でも、コウモリ一点について深く知る事が、
生き物全般についての理解の一助となり、
自然のあり方や、人間と自然の関係までを考えさせてくれます。

基本的に、自然は多様すぎて、複雑すぎて、
全体を把握するのは、不可能としか思えません。
でも、この二冊を縦糸と横糸として考えると、
何かがが見えてくるような気がしました。
とても良いタイミングで、二冊を読めた事に感謝です。


で、「観察ブック」となっているけど、
普通の読み物としてもかなり楽しめます。
見事な写真が多いし、イラストは可愛い。
文章に癖があるけど、そんなに気になりませんでした。
何より内容が多岐にわたっていて、飽きさせないのがエライ。


  また、外国の動物園に目を向けると、
  コウモリの種類も多く、
  展示の仕方も工夫があって充実しているところが多い。

  ただ、あまりにも展示動物に配慮しているために、
  外国の夜行獣館は真っ暗だから、
  犯罪に巻き込まれないように気を付けなければならない。


こんな文化の差も、ちょこっと教えてくれるのです。

あたしゃ、こんな本が大好き。
コウモリ以外でも、この手の出版物が増えるのを切望します。