磯辺勝「江戸俳画紀行」

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知識レベルによって受け取り方の差は大きいと思うのだが、
江戸の俳諧では芭蕉、蕪村、一茶をちょこっと知る程度の私には、
なかなか面白く参考になった一冊でした。

正直、読むつもりは全くなく、
ぼんやり眺めるだけのつもりで借りて来たんだけど、
いつの間にやら全部読んでしまった。

二十三人の俳画を紹介する一冊なのだけど、
単なる羅列になっていないところが、
この本が江戸の俳句界への入門書として優れているところだろう。

196頁の「俳画を描いた多くの近世俳人が、」で始まる段落など、
俳句ではなく、俳画に注目して多くの人物を広く見たからこそ書ける文章であり、
実に興味深く「なるほど」と思わされる著者の考察である。
これによって当時の俳人たちの生活や含羞をのぞき見ることができる。

良い本というのは、読み終えた後に、
「よし、じゃあ次はこれを読もう。あれも読もう」と、
広がりを持たせてくれる。

日本文化ってのは実に奥が深い。
その一つの入り口に連れて行ってもらったような気がする。



追記1:さっそく、田上菊舎さんに関するHPを見つけたので、
ざっと読ませてもらいました。
これは価値がありますね。http://www.kikusha.com/