吉川潮「落語の国 芸人帖」

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作家であり、演芸評論家でもある吉川潮氏が、
今年の一月に出した雑文集です。
基本的には、ここ数年の短い文章がまとめられていて、
立川談春を褒めちぎっている辺りが読みどころでしょう。


ただ、そんな中に、一つ古い文章も混じってます。
1983年と書いてあるから、26年も前のもの。
タイトルは「野球落語タイトルマッチ:桂ヨネスケvs.月亭八方」。

いやあ、まさに「隔世の感」といった文章。
昔を振り返って思い出して書いたのではなく、
当時の文章だから熱気がそのまま伝わってきてとても面白いのです。

最早、ジャイアンツのみならず、日本を代表する監督になった原辰徳だが、
ここではデビュー前の新人として月亭八方にからかわれています。爆笑。

川上と長島の仲が悪いとかいう伝説(?)を知らないと分からぬネタがあり、
解説の荒川さんが斬られていたり、
中畑がケガをすると代わりに出た選手が大活躍してスターになるとか、、、

野球って、人気があったんですねえ、当時は。

いや、今だって野球人気は衰えてはいないのだけど、
笑いのネタになる愛すべきキャラがいないという事かもしれぬ。

長嶋、田淵、広岡、川上、中畑、原、江川、小林、ブリーデン・・・
彼らの個性が周知されていて、笑いになった。

この当時でも、王貞治は笑いのネタにはならなかった、と書いてある。
イチローゴジラ松井ダルビッシュ有、松坂、岩隈・・・
今の有名選手たちも、かなり難しそうだ。
西武のおかわり中村とか、楽天の田中マー君とか、それくらいしか思い付かない。
やはり清原のジャイアンツ退団→引退ってのは大きかったのかも。

思うのだが、我らがタイガースに面白みが欠けているのは非常に残念だ。
今年は危うい状況だが、ここ何年か、強くていいチームにはなったけど、
新庄以降は笑いのネタになる選手を全く出していない。
田淵、掛布、岡田といった流れが途絶えてしまっている。
そういう意味で、先週辺りから急に出てきて目立っている
アンパンマン野原祐也には是非レギュラーを獲って欲しいな。